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組織風土とかけて、オリンピックと解く。その心は…

今月末から夏季オリンピックがフランスのパリで開催されます。前回の東京大会がコロナ禍の影響で1年後ろ倒しになったので、3年のインターバル期間となります。どうりであっという間だなと感じるわけです。今大会ではどのような感動が生まれるのか、アスリートたちの活躍が楽しみです。

さて、今回のコラムでは「組織風土」を取り上げたいと思います。組織風土には、明文化されているものとされていないものがあります。それぞれの特徴を見てみましょう。

創業目的や上司の個性反映

明文化されている組織風土には、まずはミッションやビジョンなどが挙げられます。会社はそもそも創業者が実現したいことがあるから設立されるのです。スタートアップ企業をイメージすると分かりやすいです。その創業者の人柄やミッション、ビジョンに惹かれた人材が集まり、組織風土は作られていきます。大企業が子会社を設立するときも同じです。実現したい事業があるから子会社を設立し、そこに人材が出向したり集まったりして、同じ志向をもつ者同士の組織風土が作られていきます。

このほか、人事制度や就業規則も組織風土に関係します。例えば、社員が1人だったら制度も規則もいりません。好きなようにやればいいのです。社員が10人、20人、30人と増えてくるに従い、コミュニケーションが難しくなり制度や規則が作られるのです。そこに、「わが社らしさ」という組織風土が加味されていくのです。

組織風土というと、むしろ明文化されていないものの方がイメージしやすいかもしれません。例えば、社内の人を「部長」「課長」などの役職で呼ぶのか、「さん付け」で呼ぶのかは明文化されていない組織風土です。これは「とくに意識していない」という点がポイントです。知らず知らずのうちにそうなっているのです。また、上司の仕事の進め方や意思決定の方法は組織風土そのものです。多くの企業では「空気(風土)を読める人」が上司になっているからです。

エンゲージメント調査で計測

ISO30414では、組織風土を計測する手段として「エンゲージメント調査」を行うことを推奨しています。エンゲージメントの高さと企業業績の関係については、様々な研究で「正の相関関係」が認められています。エンゲージメントが高いということは、組織風土が良好であることを示唆し、企業価値が高まることが推察されるのです。人的資本の開示においても、「エンゲージメント調査」の結果を開示する企業が増えているのはそのためです。

また、エンゲージメントや組織風土には、そこで働く社員の感情が大きな影響を与えます。これを「感情(感動)の伝染」という言い方をします。うれしい、楽しいなどのポジティブな感情や、同僚への感謝の気持ち、やさしさ、親切心などは組織に伝染するのです。それがその会社「らしさ」を作っていくのです。組織風土は真似できないといわれる所以です。

最後に、コラムのタイトルにした謎かけの続きです。

組織風土とかけて、オリンピックと解く。その心は…

「どちらも感動が伝染します」

おあとがよろしいようで。

(横山貴士)

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