集合研修とは?オンライン研修との違いや特徴・適しているケースを解説
人財育成のヒント新人社員研修・中堅社員研修・管理職研修などを行うの際に有効な方法として「集合研修」があげられます。
本記事では、集合研修の仕組みや実施するメリット・デメリット、効率的に活用するポイントなどを詳しく解説します。集合研修を通じて社内教育を検討している企業の担当者の方は、ぜひご一読ください。
集合研修とは
集合研修とは、一般的に10〜20名程度の受講者に対して、対面形式で学習機会を設ける研修形態です。集合研修を担当する講師側は、社内の先輩社員の場合もあれば、テーマによっては外部講師を招くときもあります。
近年は、オンラインで実施されるケースも増えつつありますが、基本的には集合研修が主流でした。
オンライン研修との違い
オンライン研修とは、オンラインプラットフォームを活用して学習機会を設ける方法です。近年、オンライン研修が増えた理由は、新型コロナウイルスによる在宅ワークがきっかけです。
自宅でも学習できる方法として、オンライン研修が実施されるようになりました。オンライン研修は現在も活用されているケースが多く、集合研修よりも効率が良いとされている企業もあります。
では、集合研修とオンライン研修の違いを確認しましょう。
集合研修は費用はかかるものの、実践的な学習ができます。一方、オンライン研修は費用は抑えられるものの、実践的な学習には不向きです。
集合研修とオンラインの良い部分を合わせることで、より効率的かつ効果的な学習機会を提供できます。
集合研修のメリット
集合研修のメリットは、以下のとおりです。
・その場で議論や質問をできる
・ロールプレイングを行える
集合研修のメリットを理解し、目的に合わせて効果的な研修プログラムをつくりましょう。
コミュニケーションが活性化する
集合研修でコミュニケーションが活性化する理由は、対面で実施されることによって、コミュニケーションの手段、幅が広がりオンラインなどに比べて、伝え方が容易になるからです。
従業員の中でコミュニケーションが活性化するメリットは、普段の仕事でも円滑な連携が取れる点です。従業員同士の仲が深まれば、仕事においてもサポートし合えます。組織として良い方向に進む期待が高まります。
その場で議論や質問をできる
その場で議論や質問をできるのも、集合研修のメリットです。
集合研修では、実施中はもちろん、終了後もタイミングを見てすぐに質問できます。また、実際の議論を通じて不明点があった際に、すぐ解決できる環境があるのは、集合研修のメリットでしょう。
ロールプレイングを行える
ロールプレイングとは、実際に起きる可能性があるシチュエーションを想定した実践形式の研修です。集合研修では、すぐにグループ分けできたり、対面の温度感を感じたりできるので、ロールプレイングに向いています。
ロールプレイングのメリットは、実践にすぐ活用できる点です。オンラインの場合、インプットはできますが、すぐにアウトプットできるタイミングはありません。
集合研修では学習した内容をもとにロールプレイングができ、すぐに活用できるスキルの習得が早まります。
集合研修のデメリット
集合研修にはメリットだけでなく、デメリットもあります。デメリットを理解していないまま集合研修を実施すると予定した取り組みができなかったり予期した成果が得られなかったりするおそれがあります。
集合研修を成功させ、従業員のスキルアップを図るうえで、以下のデメリットを把握しておくことが必要です。
・スケジュール調整が難しい
・受講態度が受動的になりやすい
・受講者の知識レベルや理解度に合わせられない
・知識を定着させる取り組みが別で必要となる
さまざまなコストがかかる
さまざまなコストがかかるのは、集合研修のデメリットです。
具体的には、以下のようなコストがかかります。
・移動費
・宿泊費
・資料製作費
・人件費
・カリキュラムの事前準備
集合研修を実施するには、計画から実施までの事前準備が必要です。また、講師側がどのように伝えるのかなどの、計画書も欠かせません。
時間・費用・人的コストが大幅にかかってしまうと、実務が円滑に進められないかもしれません。集合研修において、さまざまなコストがかかることはデメリットだと言えるでしょう。
スケジュール調整が難しい
集合研修は一度に多数の人数が集まるため、スケジュールの調整が困難です。スケジュールを組みなおす場合は、数ヵ月後になるかもしれません。
集合研修を実施するときは、1週間目・3日前・前日などで、リマインドの連絡をするようにしましょう。集合研修までに何度か事前連絡を繰り返すことで、注意喚起を促せます。
また、会場を借りる場合は、収容人数や使用時間、場所などを計画時点で確認するようにしましょう。
受講態度が受動的になりやすい
受講態度が受動的になりやすい理由は、決められた時間・場所・内容を設定されているからです。自分から選んだ研修ではない場合「やらされている」という気持ちになりやすくなります。
受講態度が受動的になった場合は、普段会えない人をゲストに招いたり、いつもと違う場所で開催したりして、非日常感を与えることが大切です。
また、集合研修前にどのような目的を持って取り組むのかを定め、終了後に振り返る時間を取ることで、主体性を維持できるでしょう。
受講者の知識レベルや理解度に合わせられない
受講者の知識レベルや理解度に合わせられない受講者の知識レベルや理解度に合わせられない理由は、一つのテーマに絞って実施されるケースがほとんどだからです。
たとえば、ビジネスマナーについて集合研修をする際、すでに身についている従業員もいるはずです。その場合、集合研修の時間を違う勉強の時間や仕事に振りむけたいという気持ちから集中力に欠けてしまうかもしれません。
集合研修を実施する場合は、2つほどのテーマを持って実施するのも対策の一つでしょう。
知識を定着させる取り組みが別で必要となる
知識を定着させる取り組みが別で必要となる理由は、開催して満足してしまう可能性があるからです。受講者は集合研修後、やり切った気持ちを持ち達成感に浸る可能性があります。
集合研修をしても、知識として定着させなければ開催した時間が無駄になってしまいます。集合研修後は、振り返りの機会を設けることが大切です。
集合研修中に理解できた点・わからなかった点を確認することで、知識として定着できる可能性が高まります。
集合研修が適しているケース
テーマによっては集合研修が適しているケースがあります。
以下の研修は、集合研修に適しているケースです。
・中堅社員研修
・リーダー向け研修
・管理職研修
・実践型研修
新人・中堅・リーダー向け・管理職研修が集合研修に適している理由は、同期・先輩社員と交流を深めつつ、実体験を積めるからです。対面の研修を通じてコミュニケーションを深めれば、仕事での連携もスムーズになります。また、実体験を積むことで、その場で何がうまくいかない原因なのかを、解きほぐし解決できます。
実践型研修は、グループワークやロールプレイングを通じて、実際の顧客をイメージしながら取り組めます。集合研修で実践に生かせる内容を盛り込むことで、早期に結果が出せる期待が高まります。
集合研修が適していないケース
集合研修には、以下のような適していないケースもあります。
・複数の拠点で実施する研修
インプット中心の研修が適していない理由は、オンラインの方がコストを抑えられるからです。事業内容や商品・サービスの説明の場合は、効率を重視したオンライン研修が向いています。
複数の拠点で実施する研修は、移動時間や金銭的コストがかかり、費用が重みます。オンライン研修であれば、複数の拠点があっても同じタイミングで実施できます。
集合研修を効率的に活用するポイント
集合研修を行うときは、以下のポイントを押さえることで、効率的かつ効果的に実施できます。
・他の学習形態と組み合わせる
それぞれのポイントについて、詳しく見ていきましょう。
研修の振り返りを行う
集合研修を効率的に活用するポイントの一つは、振り返りを行うことです。集合研修の本来の目的は、知識の定着です。しかし、集合研修後に振り返りの時間を設けないと、受講生はその時は満足してもしばらくすると学んだ内容を忘れてしまうかもしれません。
集合研修が終わった後は、以下の方法で振り返りをするのがおすすめです。
・レポート
・プレゼンテーション
アンケートでは、実際に受けた感想などを記載してもらいます。アンケート内に自由記述の欄を設けることで、振り返りながら知識の定着ができます。レポートでは、実際に学習した内容を400字程度にまとめてもらえれば、研修全体を振り返れます。
プレゼンテーションでは、集合研修の内容を大まかにまとめ、講師や人事、受講生同士などで発表し合います。受講した内容を一度インプットしアウトプットすると、自身の中で納得してまとめられ、知識として定着する可能性が高まります。
他の学習形態と組み合わせる
他の学習形態と組み合わせるのも、集合研修を効率的に行うポイントです。
たとえば、集合研修は対面で行うことで、コミュニケーションの活性化やロールプレイングができるといったメリットがあります。一方、オンライン研修は知識に関するインプットであれば、コストを抑えての学習ができるメリットがあります。
集合研修とオンライン研修を組み合わせることで、コストを抑えながらより効果的な研修に仕立てられます。また、オンライン研修で事前知識を身につけ、集合研修で実践型の学習を行えば、より効率的な研修機会を提供できます。
集合研修の今後
労働政策研究・研究機構が公表した調査結果によると、集合研修を実施している企業は以下のように回答しました。
引用:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「人材育成と能力開発の現状と課題に関する調査(企業調査)」
また、オンライン研修がこれまで以上に拡充すると回答している人の割合が高く、増加が見込まれると予測されます。
引用:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「人材育成と能力開発の現状と課題に関する調査(企業調査)」
上記のように、オンライン研修が増えるものの、集合研修を実施していく企業がいるという結果がわかりました。
まとめ
集合研修は、実践型の学習を実施する際に有効な手段です。ロールプレイングなどを通じて、実践に活用できる研修ができます。
日経ビジネススクールを、ぜひご利用ください。