グローバル人材育成に求められるスキルとは?人材育成の方法やコツを紹介
人財育成のヒント経済のグローバル化に伴い、大企業のみならず中堅・中小企業でも海外展開する企業が増えています。グローバル人材の獲得や育成は事業の継続・拡大に不可欠です。グローバル人材育成は、企業の持続的な成長と発展に欠かせない取り組みと言えます。
本記事では経営者や教育担当の方向けに「グローバル人材とはどういった人材か」「どう育成したらよいか」など、グローバル人材の要件や求められるスキル、育成方法について解説します。
グローバル人材とは?
グローバル人材とは、グローバルな環境で活躍できる人材です。海外赴任者は言うに及ばず国内においても事業展開のうえで、英語をはじめとする外国語を話すビジネスパーソンとのコミュニケーションが必須とされる場面が増えています。
海外事業を展開すると、現地の人々との価値観の違い、ミスコミュニケーションから問題が発生することもあるでしょう。グローバル人材には言語・文化・価値観などの違いを受け入れて、最大限のパフォーマンスを発揮する役割が求められています。
日本政府は、「グローバル人材育成戦略」を策定し、グローバル人材の育成を推進してきました。この戦略では、以下の5つの重点施策を掲げています。
・グローバル人材の育成を支援する環境の整備
・グローバル人材の活躍の場の拡大
・グローバル人材育成の成果の可視化
・グローバル人材育成の国際連携の推進
文部科学省が定義するグローバル人材像
文部科学省では、グローバル人材について以下のように定義しています。
「世界的な競争と共生が進む現代社会において、日本人としてのアイデンティティを持ちながら、広い視野に立って培われる教養と専門性、異なる言語、文化、価値を乗り越えて関係を構築するためのコミュニケーション能力と 協調性、新しい価値を創造する能力、次世代までも視野に入れた社会貢献の意識などを持った人間」
グローバル人材には、言語・文化・価値観の壁を乗り越える力や、ビジネスを成功させるのに不可欠な教養や専門的なスキルに加え、ビジネスを発展させていける創造力や社会貢献意識も必要です。
「英語がしゃべれる」「海外に関する知識がある」といった人材は、グローバル人材として必要なスキルや能力の一部を有していると言えますが、それだけでグローバル人材とは言えません。例えば、英語がしゃべれて海外に関する知識がある人材であっても、異文化理解力が低ければ、グローバルな環境でうまくコミュニケーションをとることができません。
また、ビジネスに関する教養や専門的なスキルがなければ、グローバルにビジネスを成功させることは困難です。さらに創造力や社会貢献意識がなければ、事業を展開する地域やビジネスパートナーの受け入れは難しくなります。
グローバル人材として能力水準
グローバル人材とは、先述したスキルや能力をバランスよく身につけた人材と言えるでしょう。
文部科学省は、グローバル人材の能力水準の目安を初歩から上級まで段階別に定義づけています。
2.日常生活会話レベル
3.業務上の文書・会話レベル
4.二者間折衝・交渉レベル
5.多数者間折衝・交渉レベル
実際にビジネスで活躍できるグローバル人材は、④⑤レベルの人材です。企業にとってこのレベルの人材の獲得は、とても難しいことです。しかし、①〜③レベルの人材もグローバル人材としての素養を持っており、育成により大きなステージで活躍できるグローバル人材になり得ます。
グローバル人材に必要な3つの要素
グローバル人材育成推進会議では、グローバル人材として必要な要素をさらに具体的に定義しています。その定義とは、以下の3要素です。
要素Ⅱ:主体性・積極性、チャレンジ精神、協調性・柔軟性、責任感・使命感
要素Ⅲ:異文化に対する理解と日本人としてのアイデンティティ
グローバル人材の育成にあたっては、上記要素を重点的に育成していく必要があります。
グローバル人材に求められるスキル
ここからは、グローバル人材に求められる3つのスキルについて、詳しく解説していきます。
【グローバル人材に求められるスキル】
グローバル人材に求められるスキルは、語学、コミュニケーション、マインドの3つですが、これらは単なる要素に過ぎません。これらの要素を組み合わせて、グローバルビジネスを成功させるスキルを身につけることが重要です
要素とスキルの違いは、以下のとおりです。
具体的な例を挙げると、以下のような違いがあります。
・スキル:英語で会議を進行する能力
それでは、グローバル人材育成に求められる3つのスキルを確認していきましょう。
語学
グローバルな環境で働くには、英語やそのほかの外国語でコミュニケーションできる語学力が必須です。英語は、グローバルビジネスの共通語となっており、英語力はグローバル人材の最低限の条件と言えるでしょう。幅広いシチュエーションに対応可能な語彙力、文法力を兼ね備えていることが求められます。
また、英語以外の言語の習得によって、より幅広いビジネスチャンスに挑戦できます。
具体的には、以下のような場面で語学力が役立つと考えられます。
・海外の展示会やイベントへの参加
・海外の企業との共同プロジェクトの実施
・海外のメディアやSNSでのPR活動
語学力を身につけることで、これらの場面でより効果的にコミュニケーションをとることができ、ビジネスの成功につながります。例えば、英語力はグローバルビジネスにおいて必須の要素ですが、英語を話せるようになるだけでは、グローバル人材とは言えません。英語で会議を進行したり、異なる文化的背景を持つ人々と協力したりして、海外でビジネスを成功に導くスキルを身につける必要があります。
さらに語学力は、グローバル人材に求められるほかのスキルや能力を身につけることにも役立ちます。英語力があれば、海外のビジネス書や論文を通じて海外での仕事に必要な知識の習得や異文化理解に役立ちます。英語で議論に参加すれば、問題解決能力やプレゼンテーションスキルの向上にもつながります。
コミュニケーション
グローバル人材には、異文化の背景を持つ人と円滑にコミュニケーションをとれる能力が必要となります。
具体的には、以下のレベルの能力が求められます。
・相手の言語を理解し、相手の考えや意見を正しく受け止めることができる
・相手の文化や価値観を尊重し、適切なコミュニケーションをとることができる
これらの能力を身につけることで、グローバルな環境で活躍できます。
上記のようなコミュニケーション力を身につけるには、以下の要素が必要です。
このようにグローバル人材には、多様な文化や価値観を理解し、適切なコミュニケーションをとれる能力が求められます。
今後 ビジネスシーンでどう役立つか
具体的な例として、以下のようなビジネスシーンで役立つと考えられます。
海外のチームでプロジェクトに取り組む際に、チームメンバーの意見を尊重し、協調して成果を出す
海外の顧客や消費者に対して、自社の商品やサービスを効果的にアピールする
マインド
グローバルな環境で活躍する人材にはどのようなマインドが必要でしょう。具体的には以下の通りです。
・新しいことに挑戦する力が求められる
・自分の行動に責任を持つ力が求められる
・多様な文化や価値観を理解し、尊重する力が求められる
そして、グローバルに活躍するには、以下のような要素が必要です。
これらのマインドを身につけることで、グローバルな環境でも活躍し、ビジネスの成功に貢献できます。
今後 ビジネスシーンでどう役立つか
グローバル化の進展に伴い、今後は以下の場面でマインドが役立つと考えられます。
・変化や困難に立ち向かう場面
・リーダーシップを発揮する場面
また具体的には、以下のようなビジネスシーンでどのようなマインドが役立つでしょう。
・新しい技術やビジネスモデルを導入する際に、変化や困難に立ち向かい、成功に導く
・海外の顧客や消費者のニーズを理解し、新たな消費者にサービスを開発する
英会話ができるだけではグローバルな活躍はできない
日本企業の多くではTOEICが社員の英語力評価のために使われています。しかし、「TOEICが800点を超えても、実際のビジネスの場で英語を話せない」と指摘されるビジネスパーソンは多く見られます。
なぜ、英会話やTOEICの点数が高いだけでは、ビジネスにおいて活躍するのが難しいのでしょうか。
TOEIC900点以上でも75%の人は会話ができない
日本経済新聞社 ライフ&キャリアビジネス 教育事業ユニットは、世界標準のVERSANT®での1万人スコアデータからの分析レポート「VERSANTtopics 001」を発表しています。
「VERSANT®」は教育出版世界大手の英ピアソン社が開発し、欧米のグローバル企業などに採用される世界標準の英語テストです。ネイティブの自然なスピードで流れる質問を聞いて回答するテストで、高度な自動音声認識などの技術を活用し、客観的かつ迅速に採点されます。リスニング能力とスピーキング能力の両方を測定し、中でも重点を置いているのは日常的に使用される口頭英語に回答できる能力(自然さ、流暢さ、即時性)です。日本では2016年から日本経済新聞社が本格的に販売を始めており、これまでに金融大手など200社以上の有力企業が導入しています。
レポートによると、そもそも英語力の指標として使われるTOEICにおいて900点以上の人材であっても、75%の人が「会話に難あり」という結果が出ています。さらに、ネイティブとの議論ができる人材はたったの1割程度。法人モニター企業のスコアを比較したところ、「ほとんど英語での会話が成り立たない」という企業が大半を占めました。
日経のVERSANT®テストは、「英語を聞いてから英語で話す」という実際のシーンに沿った英語のコミュニケーション力を測る実践を重視した英語力テストです。TOEICではわからないグローバルビジネスレベルで議論ができる語学力があるかどうかを測定できます。
VERSANT®を導入して、社員の本当の英語力を把握してみてはいかがでしょうか。
海外実務担当者の悩みにおいて語学力不足は11%のみ
グローバルレベルで議論が交わせる英会話力は最低限必要ですが、それだけではグローバルな活躍はできません。海外実務担当者がグローバルビジネスにおいて課題感を持つスキルについて、「語学力不足」という回答はたったの11%でした。
では、海外実務担当者が課題だと感じていることは何なのか。紹介していきます。
・文化や国による考え方の違い(33.5%)
・文化や国による仕事の進め方の違い(29.1%)
・コミュニケーション方法の違い(18.7%)
・語学力不足(11.6%)
・自身のマネジメント経験の不足(6.9%)
出典:Excedo|NIKKEI
上記から、英語ができると判断する基準を改める必要性だけでなく、語学力以外にも身につけておくべきスキルがあるとわかるでしょう。
・英語力
・マネジメント力(共生・協働力)
・LIKEABILITY(人に好かれる能力)
・交渉力 ・異文化対応力
・非言語コミュニケーション力
・発信力(プレゼン・ファシリテーション力・アサーション力) など
日経ビジネススクールの「Excedo」は、グローバル環境下で発揮できる「柔軟性」や「主体性」「要約力」「伝える力」「質問力」「後押し力」「任せる力」「巻き込み力」など9つのグローバルビジネスを推進するうえで必要な力の向上をゴールとするプログラムです。
グローバル人材育成を見直す際にはぜひご検討ください。
グローバル人材を育成する方法
グローバル化が進む中、企業にとってグローバル人材の需要は高まっています。しかし、グローバル人材は、これまで確認してきたように、語学力や異文化理解力、コミュニケーション能力など、多様なスキルや経験が求められ、十分に確保することは容易ではありません。
また、グローバル人材は、海外の拠点やプロジェクトをリードする機会も多く、リーダーシップやチャレンジ精神も求められます。これらのスキルや経験は、すぐに身につくものではありません。企業にとって自社でのグローバル人材を育成は不可避です。
今いる人材を育成すれば、グローバル人材の獲得にかかる時間は短くできます。人的資本経営では、人材を企業の重要な資産として捉え、その能力やスキルを最大限に引き出して、企業価値の向上につなげていく経営戦略です。グローバル人材育成は、人的資本経営を実現に重要な要素なのです。
それでは、どのように育成すればよいのでしょうか。育成のステップを見ていきましょう。
・グローバル人材の候補者選定
・候補者の不足スキルの洗い出し
・人材計画の立案
・人材育成・研修の実施
・配属・適切なフィードバック
1:グローバル人材の候補者の選定
まずは、自社が求める人材像を明確にし、それに合致する候補者を抽出します。候補者選定にあたっては、以下の要素を評価するとよいでしょう。
グローバル人材に求められる最低限の語学力は、ビジネスレベルの英語力です。また、英語以外の言語を話せれば、より有利になります。
・異文化理解力
異文化理解力とは、異なる文化や価値観を理解し、尊重する能力です。グローバル人材にとって、海外の拠点や取引先と円滑にコミュニケーションをとるために、異文化理解力は必要不可欠です。
・コミュニケーション能力
コミュニケーション能力とは、自分の考えや意見を明確に伝え、相手の考えや意見を正しく理解する能力です。グローバル人材は、多様なバックグラウンドを持つ人々とコミュニケーションをとる機会が多く、コミュニケーション能力がは事業運営の決め手となります。
・リーダーシップ
リーダーシップとは、目標達成に向け、人々を導く能力です。グローバル人材は、海外の拠点やプロジェクトをリードするのにふさわしいリーダーシップを求められます。
・チャレンジ精神
チャレンジ精神とは、新しいことに挑戦する意欲や行動力です。グローバル人材は、常に変化する環境を乗り切れるチャレンジ精神が必要です。
具体的な選定方法としては、以下のような例が挙げられます。
グローバル人材の候補者選定は、企業にとって重要な取り組みです。慎重に選定を行うことで、自社に必要なグローバル人材を育成できます。
2:候補者の不足スキルの洗い出し
リストアップが完了したら、候補者のポジションやキャリアに合わせて必要なスキルを洗い出し、一覧化します。
<候補者スキル一覧 例>
候補者のスキルを把握する際には、以下の点に注意しましょう。
スキルを定義する
スキルを定義することで、客観的な評価ができます。スキルを定義する際には、以下の要素を検討するとよいでしょう。
・スキルのレベル(初級、中級、上級など)
・スキルの具体的な内容(ビジネスレベルの英語力、異文化理解力など)
スキルを評価する
スキルを評価する際には、客観的な基準を定める必要があります。例えば、語学力を評価する際には、TOEICやTOEFLなどのスコアを基準にできます。
組織がミッションを達成するうえで、社員のPDCA強化は欠かせません。新人研修のうちから積極的に取り入れていきましょう。
スキルを補う方法を検討する
候補者のスキルが不足している場合には、補う方法を検討する必要があります。例えば、語学力を補うには、語学研修や留学が選択肢となります。
候補者のスキルを把握し、強化すべきポイントや補いたいスキルを洗い出して、効果的な育成計画を立案しましょう。
3:人材育成の計画の立案
候補者のスキルの洗い出しができたら、次は育成計画を立案していきます。まずは自社の事業内容や海外展開の戦略を踏まえて効果的な計画を立案し、継続的に育成を進めるなかでグローバル人材を輩出し、企業の発展につなげられます。
計画を練る際に検討したい項目は、以下の通りです。
・強化するスキル
・強化する方法(研修方法)
・どのように評価するか
・どのくらいの予算か
・どのくらいの期間でどのようなレベルに到達させるか
・実施した後、育成計画をどのように評価するか
語学研修などは外部研修やeラーニングを用いることで、短期間で集中的にスキルアップを図れます。一方、習熟難易度が高いスキルは、長期的な育成が必要です。
また、グローバル人材の育成に関する豊富な知識と経験を持つ外部コンサルタントに依頼すれば、効果的な計画立案の役に立ちます。
4:人材育成・研修の実施
グローバル人材の研修には、以下のような種類があります。
・語学研修
グローバル人材に求められる最低限の語学力は、ビジネスレベルの英語力です。ビジネスで必要な英語の表現やスキルを身につけられる語学研修は、グローバル人材の育成において重要な研修の一つと言えます。
・異文化理解研修
異なる文化や価値観を持つ人々と円滑にコミュニケーションをとるためには、異文化理解力が必要です。異文化理解研修では、異なる文化の特徴や価値観を理解し、尊重する力を身につけられます。
・海外研修
海外の拠点や現地企業で研修を受けることで、異文化理解力やコミュニケーション能力を高められます。
・コミュニケーション研修
多様なバックグラウンドを持つ人々とコミュニケーションをとる機会が多いグローバル人材にとって、コミュニケーション能力は重要です。コミュニケーション研修では、自分の考えや意見を明確に伝え、相手の考えや意見を正しく理解する力を身につけられます。
・グローバルリーダーシップ研修
海外の拠点やプロジェクトをリードする機会が多いグローバル人材は、リーダーシップが不可欠です。リーダーシップ研修では、目標達成に向けて、他のメンバーを導く力を身につけられます。
・チャレンジ精神研修
グローバル人材は、常に変化する環境に負けない、チャレンジ精神が必要です。チャレンジ精神研修では、新しいことに挑戦する意欲や行動力を身につけられます。
5:配属&適切なフィードバックを行う
グローバル人材育成プログラムを終えたら、次は適切な配属が課題となります。適切な配属とは、グローバル人材のスキルや経験を生かせるポジションに付け事業貢献させることです。例えば、語学力に優れた人材は、海外の拠点やプロジェクトに配属するなどで活躍の可能性が高まります。
しかし、グローバル人材育成プログラムが当初の予定通り順調に進行するとは限りません。リストアップした候補者が通常業務に追われ学習時間を確保できないなどの理由からスキルを取得できないこともあります。また、社会情勢の変化で海外事業展開そのものの計画が変更になることもあるでしょう。
そのため、数多くのグローバル人材の候補者が絶え間なくわき出てくるような状態を作っておくことが必要です。長期的にとらえて、新卒採用や中途採用の段階でも海外赴任の希望者を募り、人材確保を怠らない姿勢が大切です。
例えば、リストアップした候補者が、思ったようにスキルを習得できていない場合には、以下のような手段が考えられます。
・フォローアップの強化…研修後のフォローアップの強化で、候補者のスキルを定着させることができます。
・個人指導の強化…個人指導の強化で、候補者一人ひとりのスキルや経験に合わせた育成できます。
・関係者への協力依頼…プログラムの成功には、候補者や上司、メンターなど、現場における関係者の協力が不可欠です。関係者間の連携強化で、組織全体でプログラムの円滑な推進を図れる環境をつくりましょう。
適切なフィードバック
グローバル人材は、常に成長していく必要があります。そのため、上司やメンターは、グローバル人材の成長を促すフィードバックを常に心がける必要があります。
具体的には、以下の点に注意してフィードバックするとよいでしょう。
グローバル人材の成長を促すためには、具体的な行動や結果へのフィードバックが大切です。
・ポジティブな側面とネガティブな側面の両方からバランスよくフィードバックする
グローバル人材の成長を促すには、ポジティブなフィードバックとネガティブなフィードバックのバランスが大切です。ポジティブなフィードバックは、グローバル人材のモチベーションを高め、ネガティブなフィードバックは、グローバル人材の成長を促すことができます。
・フィードバックを繰り返す
グローバル人材の成長を促すには、フィードバックの繰り返しが大切です。フィードバックの反復で、自分の成長を意識し、改善に取り組むことができます。
グローバル人材を育成するコツ
最後に、グローバル人材を育成する際のコツを解説します。
・考えや意見を自由に発言できる環境をつくる
・多様性を受け入れられるよう社員を教育する
考えや意見を自由に発言できる環境を作る
グローバル人材は、異なる文化や価値観を持つ人々との仕事の機会が多く、多様な考えや意見の受け入れが大切です。そのためには、社員が自由に考えや意見を発言できる環境をつくることが重要です。
具体的には、以下の点に注意するとよいでしょう。
・ 批判や否定をしない
社員が自分の意見を言いにくいと感じてしまう理由の一つに、批判や否定を恐れる気持ちがあります。そのため、社員の意見を批判したり否定したりしない環境づくりが大切です。会議やミーティングの場でも批判や否定をせずにメンバーに発言を促し、傾聴し、議論に生かす。相手を受け入れ、尊重することで「そんな考え方もあるんだ」と異なる価値観を大切にする雰囲気をつくりましょう。
・積極的にフィードバックする
積極的にフィードバックすることで、社員は自分の意見がどのように受け止められているかを初めて理解できます。積極的なフィードバックは、社員が自分の意見を表明しやすくなる土壌となります。
多様性を受け入れられるよう社員を教育する
異なる文化や価値観を持つ人々と仕事をする機会が多いグローバル人材は、多様性を受け入れる姿勢が大切です。グローバル人材を生み出しやすい環境をつくるために、ダイバーシティの推進が必要です。ダイバーシティとは「多様性」を指す用語で、異なる価値観や考え方を持った人材を集めた組織るくりを意味します。
そのためには、社員が多様性を理解し、受け入れられるよう社員を教育する必要があります。具体的には、以下の点を研修内容に組み込んでいくとよいでしょう。
・多様性の重要性を理解させる
多様性とは、価値観や考え方、経験、バックグラウンドなどが異なることを意味します。多様性の理解には、多様な人材屋価値観にふれられる環境を整え、その重要性を社員に伝えることが大切です。
・異文化理解を深める
異なる文化や価値観を持つ人々と仕事をするのに、異文化理解は欠かせません。異文化理解を深めるために、異文化研修や交流会などの機会を設けることが効果的です。
・多様性を受け入れるマインドセットを身につける
多様性を受け入れるには、需要性に富むマインドセットを身につける必要があります。多様性を受け入れるマインドセットには、社員一人ひとりが自分の価値観や考え方を見直し、より他者に対して寛容になることが大切です。
まとめ
本記事では、グローバル人材育成の定義、求められるスキル、育成方法を解説しました。グローバル人材を育成するには、企業全体が意識を変え、グローバル人材の育成を経営戦略に組み込むことが重要です。グローバル人材の育成は、企業の多様性やインクルージョンの推進にもつながります。多様な価値観やバックグラウンドを持つ社員が活躍できる環境を整え、新たな市場や顧客を開拓できるイノベーションを起こし、競争力を高めていきましょう。