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マイクロラーニングとは?活用するメリットや教材の作り方をわかりやすく解説

近年、効率的かつ効果的な学習方法として注目されているのがマイクロラーニングです。マイクロラーニングは新型コロナウイルスや在宅ワークをきっかけに注目度が高まっています。

本記事では、マイクロラーニングとは何か、導入するメリット・デメリット、有効なシーン、事例などについて詳しく解説します。

全社員の研修にマイクロラーニングの導入を検討されている企業は、ぜひご一読ください。

マイクロラーニングとは

マイクロラーニングとは、1回の学習時間が5分から10分程度になる短時間の学習方法です。一つのコンテンツが短時間で完結し、移動時間や隙間時間に場所を選ばずに受講できます。

マイクロラーニングは、社内で作成した教材だけでなく、YouTubeなどに載っている動画も含まれます。マイクロラーニングで利用する媒体や教材には、制限を設けられていないのが特徴です。

受講者は自身にとって最適な手段で学習できるのが、マイクロラーニングの最大の強みです。

eラーニングとの違い

マイクロラーニングと類似した意味合いをもつ言葉が、eラーニングです。eラーニングは、スマートフォンやパソコン、タブレットを活用してオンラインで学習するスタイルを指します。

マイクロラーニングもeラーニングの一種になりますが、大きな違いは学習時間の長さです。

eラーニングが提供する一つのコンテンツは30分から60分程度になる一方、マイクロラーニングは5分から10分程度です。オンラインで学習する教材の時間が短い場合は、マイクロラーニングに該当します。

マイクロラーニングが登場した理由

マイクロラーニングが登場した理由は、以下のとおりです。

・新型コロナウイルスによるオンライン学習
・eラーニングの学習頻度の低下
・研修にかける時間がない
・拘束時間が長く受講者・講師に負担がかかる

新型コロナウイルスの影響により、多種多様な働き方が生まれました。そのなかでオンライン学習であるeラーニングは拘束時間が長く、受講者・講師双方に負担がかかりすぎていると懸念する企業が増える傾向がありました。

そこで登場したのが、マイクロラーニングです。短時間の動画教材などを活用して、移動時間や隙間時間に学習できるだけでなく、飽きずに視聴できる点に大きな効果があります。

マイクロラーニングのメリット

マイクロラーニングのメリットは、以下のとおりです。

・隙間時間を活用できる
・知識を習得しやすい
・学習教材を作成しやすい

マイクロラーニングが生まれた背景はコロナ禍による在宅ワークの進展でした。では、実際にどのようなメリットがあるのでしょうか。

隙間時間を活用できる

マイクロラーニングは、5分から10分程度の短時間で学習でき、仕事の休憩時間や待ち合わせの時間などの隙間時間を活用できます。

隙間時間を活用すれば、多忙な生活をしている人でも常に新しい情報をキャッチでき、自己研鑽を積むことができます。

知識を習得しやすい

マイクロラーニングにより知識の習得がしやすくなる理由は、予習・復習を繰り返せるからです。一度学習した内容を1カ月後に時間をかけて復習するよりも、自身が好きなタイミングで確認ができた方が、定着する度合いが高まります。

クイズ形式の学習を取り入れれば、理解度チェックも確認しやすくなります。マイクロラーニングは気軽にインプット・アウトプットができ、知識の習得がしやすいのが魅力と言えます。

学習教材を作成しやすい

マイクロラーニングが学習教材を作成しやすい理由は、一つのコンテンツが短時間だからです。eラーニングは30分から60分程度と、構成や編集に時間を要します。

しかし、マイクロラーニングの一つのコンテンツは5分から10分程度なので、開催した研修のフィードバックとして、すぐ活用することも可能です。

マイクロラーニングのデメリット

マイクロラーニングのデメリットは、以下のとおりです。

・複雑な知識や対人スキルは習得が難しい
・導入・運用にコストがかかる

マイクロラーニングを導入する際は、メリットだけでなくデメリットも含め総合的に判断して、自社に適切なやり方で導入しましょう。

複雑な知識や対人スキルは習得が難しい

マイクロラーニングで複雑な知識・対人スキルの習得が難しい理由は、短時間のコンテンツで学びきるのが難しいからです。

たとえば、営業における顧客の課題を深掘り、解決しようする研修をする場合、短時間の教材では一度に伝えきるのが困難です。一方、語学や一定のスキルに関する学習については、マイクロラーニングが向いています。

複雑な知識の習得を目的にしている場合は、直接指導またはeラーニングを活用する方が効果的です。

導入・運用にコストがかかる

マイクロラーニングの導入・運用にコストがかかる理由は、システムの準備・教材の作成が必要になるからです。

たとえば、自社で作成する動画コンテンツの場合、作成費用自体は無料で完結できますが、編集を依頼すると5万円から10万円程度のお金が必要となります。また、一つのコンテンツを制作するのに一日かかる場合もあります。

マイクロラーニングの導入・運用には、初期コストが必要です。ただし、一度作成した教材は、資産として残ります。結果的に効率的かつ効果的な学習に役立ちます。

マイクロラーニングの導入が有効なシーン

マイクロラーニングをいざ導入・運用しようと考えていても、どのようなシーンで活用すればいいのでしょうか。マイクロラーニングの導入が有効なシーンは、以下があげられます。

・新入社員の研修
・管理職の研修
・語学研修
・自社製品・サービスのインプット

新人研修では、一般的なビジネスマナーなどに関するコンテンツを、短時間で区切って学習することで、大切な部分をより深く理解できます。

管理職の研修は、一人ひとりのスケジュールを合わせるのが難しいですが、動画教材を通じて共通したスキルの学習が可能です。時間がないなかでも、短時間で学習できるのは大きなメリットです。

語学研修は、リスニング・スピーキングを短時間に分けて繰り返し学習でき、マイクロラーニングに適した研修方法です。クイズ形式を組み合わせれば、理解度も確かめられます。

自社の製品・サービスは、一つのコンテンツごとに区切って作成すれば、知りたい知識についてすぐ確認できます。重要な要点だけを伝えれば、何を覚えるべきか明確になり、定着率も高まります

マイクロラーニングの学習形態

マイクロラーニングの学習形態には、さまざまな種類があり、自社に適した方法の選択が大切です。主な学習形態は、以下があげられます。

・動画で学習する
・ダウンロードコンテンツで学習する
・図表や画像で学習する
・ポッドキャスト・ウェブキャストで学習する
・シミュレーションで学習する

それぞれの学習形態について理解し、自社に合う方法を見つけましょう。

動画で学習する

マイクロラーニングの学習形態の一つは、動画です。自社で制作した動画やYouTubeを通じて学習します。

動画で学習するメリットは、好きな場所・タイミングが視聴できる点です。対面学習では決められた時間と場所で実施されますが、動画は自由度が高く、受講者も前向きに学べる傾向があります。

研修に割く時間がない場合は、動画教材を利用して効率よく学習する機会を与えられるでしょう。

ダウンロードコンテンツで学習する

ダウンロードコンテンツで学習するのも、マイクロラーニングの学習形態の一つです。動画・書籍など、ダウンロードをして学べるコンテンツを活用すれば、隙間時間や移動時間に効率よく学べます。

学習すべきスキルが異なる場合、ダウンロードコンテンツを活用することで、一人ひとりに合った方法で知識を習得できるでしょう。

図表や画像で学習する

マイクロラーニングでは、図表や画像での学習も可能です。図表や画像は、自社で用意するときもあれば、Web上に載っているものを参考にする場合もあります。

商品やサービスの仕組みを伝える際、言葉ではわかりづらい部分を図表や画像を活用することで、より簡潔に伝えられます。

ポッドキャスト・ウェブキャストで学習する

ポッドキャスト・ウェブキャストとは、インターネット上で配信されている音声や動画をスマホでダウンロードしたり、リアルタイムで視聴したりする学習形態です。

ポッドキャスト・ウェブキャストのメリットは、以下があげられます。

・無料で聴ける
・簡単に利用できる
・多種多様な番組がある
・ダウンロードして視聴できる

ポッドキャスト・ウェブキャストは、企業で学習教材を準備できないときに有効な方法です。無料で視聴できる教材もあり、コストを削減しながら学習できます。

シミュレーションで学習する

マイクロラーニングの学習形態では、シミュレーションを活用した方法もあります。仕事において実際に起きる可能性が高いシチュエーションを想定した教材を見ることで、事前にどのような準備をする必要があるか理解できます。

また、シミュレーションで学習した後に実際のロールプレイを行えば、予習・復習ができ、スキルが定着します。

マイクロラーニングの教材の作り方

では、実際にマイクロラーニング教材を作るときの手順について解説します。主な流れは、以下のとおりです。

1.教材の目次を検討する
2.原稿を作成する
3.コンテンツを作成してパッケージ化する

マイクロラーニングの教材を作成する際は、ぜひ参考にしてください。

①教材の目次を検討する

マイクロラーニングの教材を作るときは、まず内容の大まかな流れを決める目次を決めましょう。

目次では、特に伝えたい事柄をトップに起き、その目的を細分化する形で学習内容を整理すると、一貫性がある教材が作成できます。

たとえば、論理的思考力の向上で「PREP法」を解説する際は、以下のような目次が考えられます。

【目次例】
・PREP法とは
・Point(結論)で意識すべきポイント
・Reason(理由)で意識すべきポイント
・Example(例)で意識すべきポイント
・Point(結論)で意識すべきポイント

目次を作成するときは、話の内容がぶれないように一貫性を持たせるのがポイントです。違う話題を提供してしまうと、受講者は何を学習すべきか悩んでしまいます。

目次では、伝えたい学習内容について深掘りするように作成しましょう。

②原稿を作成する

目次の作成後は、実際に伝える内容の原稿を作成しましょう。1分あたりのナレーション原稿の目安は、300字程度です。

3分から5分程度のマイクロラーニングを作成するときは、900字から1500字程度になるような原稿を作成します。動画コンテンツでは、結論を早く知りたい受講者が多いので、冒頭では伝えない内容を解説するようにしましょう。

③コンテンツを作成してパッケージ化する

動画などのコンテンツ素材を作成し、完成したらパッケージ化を進めます。パッケージ化とは、コンテンツを構成する目次・原稿・動画などの素材を一つにまとめる作業です。

作成したmp4ファイルのまま配信できる場合は、パッケージ化する必要はありません。しかし、以下のようなケースは、パッケージ化を推奨します。

他コンテンツと組み合わせたい
PowerPointなどのスライドを組み合わせたい
mp4のままシステム登録ができない

パッケージ化する際は、マイクロラーニングツールを使用すると便利です。マイクロラーニングツールは、他コンテンツやスライドを組み合わせるときの編集に役立ちます。外注しなくて済むため、費用も抑えて作成できるはずです。

マイクロラーニングの教材を作成するときは、以上の手順通りに進めていくと、スムーズに実施できます。

マイクロラーニングの効果を高めるポイント

マイクロラーニングの効果を高めるポイントは、OJTや実践学習を組み合わせることがおすすめです。マイクロラーニングだけだと、アウトプットができず、スキルが定着しないかもしれません。

しかし、OJTや実践学習、集合学習などを組み合わせることで、より効果的な研修機会を提供できます。このように、いくつかの学習を組み合わせる方法を、ブレンディッドラーニングと呼びます。

マイクロラーニングだけでは効果が薄いと思う場合は、ブレンディッドラーニングがおすすめです。

マイクロラーニングを導入する際の注意点

マイクロラーニングを導入するときの注意点は、以下のとおりです。

・一つのコンテンツで完結した教材を用意する
・社員が利用しやすい配信システムを選ぶ

マイクロラーニングをうまく導入するには、2つの注意点を確認するようにしましょう。

一つのコンテンツで完結した教材を用意する

一つのコンテンツで完結した教材を用意する理由は、視聴時間が長くなる可能性があるからです。マイクロラーニングのメリットは、短時間で学習できる点です。視聴時間が長くなればeラーニングになってしまいます。

もし、長くなるコンテンツの場合は、序盤・中盤・終盤など複数のコンテンツに分けましょう。

社員が利用しやすい配信システムを選ぶ

社員が利用しやすい配信システムを選ぶ理由は、社員の負担の軽減です。利用しやすい配信システムとは、直感的に進めるだけで視聴できる仕組みです。

利用しにくい配信システムを選んでしまうと、重要な教材を提供していても視聴してくれない可能性があります。

受講者にストレスを与えず、主体的に学習する姿勢をもってもらうには、利用しやすい配信システムにする必要があります。

まとめ

マイクロラーニングは、近年の働き方にとって欠かせない学習形態の一つです。マイクロラーニングのメリット・デメリットをまとめて見ましょう。

マイクロラーニングは、隙間時間や移動時間で予習・復習をする際に役立つ学習方法です。一つのコンテンツを短くすることで、飽きずに視聴できるよう工夫ができます。

日経ビジネススクールでは、マイクロラーニングができる教材を豊富に取り扱っており、企業ごとに必要なコンテンツを提供しています。

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