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人材育成は学ぶ機会から 費用や受講時間の指標活用

日本経済新聞社教育事業ユニットのコンサルタント陣が中心になって執筆する本コラム。いよいよISO30414の11項目・58指標のガイドラインについて触れていきましょう。

今回はそのなかでも、「9.スキルと能力」の項目、「人材開発・研修の総費用」と「従業員当たりの研修受講時間」の指標について取り上げたいと思います。

学びへの投資を測定

まず、「人材開発・研修の総費用」の算出の仕方はその文字の通り、人材開発・件数にかかった直接的なコストとなります。

(例) 講師料+研修テキスト費+教材費+研修会場料 等

(※従業員の福利厚生に含まれる教育への自己啓発費用等も含めて算出します)

組織が従業員の教育や学びに対してどれくらい投資をしているかを測る指標です。経営戦略と合わさった人材戦略のもと、人材開発・育成にしっかりとした投資が行われているか、また、経営や事業が厳しいタイミングで真っ先に予算削減がされていないか、などを考慮する必要があります。

組織として、社内の昇格者がより高いポストに就くための能力開発を重視していることも併せて示す必要があります。

次に、「従業員当たりの研修受講時間」についてです。算出の仕方は、下記の2つです。

・従業員当たりの平均受講時間=(総研修時間÷総従業員数)

・受講者当たりの平均受講時間=(総研修時間÷研修を受講した従業員数)

外部研修も算出対象に

人事部主導の教育プログラムに加え、部門や現場毎に実施している研修についても、計算する必要があります。また、福利厚生の一環で、会社の費用で、従業員が社外セミナーや外部の研修プログラムに参加するような場合も算出対象になります。

LMS(学習管理システム)やタレントマネジメントシステムを利用している企業にとっては、学習記録もデータ管理されていることが多いので、算出しやすい指標といえます。

今回触れた2つの指標は、企業が従業員の育成について十分な予算を確保し、学びの機会を提供しているか、まさに人的資本の活用を重視しているかを測る指標となります。

大手でも人材採用に苦戦する現在。いまある人的リソースを活用することが持続的な企業の成長を進める一手です。従業員が成長できる仕組みや土台を整備することで、人材の定着や離職率の低下へもつながるといえます。

いま一度、上記の指標について算出してみてはいかがでしょうか。

(山本悠平)

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