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社会人に課題発見力が必要な理由|課題発見力を高めて最大限生かす方法とは?

課題発見力とは、現状に満足せず、自ら課題を見つけ出せる能力のことです。変化の激しい現代社会で活躍するうえで、ビジネスパーソンが身につけておくべき能力の1つとして注目されています。

本記事では、課題発見力の定義や社会人に求められる理由、課題発見力が高い人材の特徴について解説します。課題発見力を高める方法も紹介します。社員の能力を伸ばして、企業成長につなげる道筋をつけましょう。

課題発見力とは

課題発見力とは、現状に満足せず、自ら課題を見つけ出す力のことです。

経済産業省が2006年に提唱した「社会人基礎力」に含まれる能力の一つで、「現状を分析し目的や課題を明らかにする力」と定義されています。

課題発見力と混同しやすい言葉として「課題解決力」が挙げられます。二つの違いは「問題やトラブル発生の有無」だと言えます。

課題解決力は、すでに発生している問題やトラブルを解決する能力であるのに対し、課題発見力は何も起きていない状態で自ら課題を見つけ出す力を指します。

課題発見力のある人は、「今よりも効率的に進められる方法は?」「より良いツールは導入できないのかな」というように、既存の方法を疑ってよりよい手段を模索します。業務の効率化や職場環境の改善、キャリアアップなどあらゆる場面で力を発揮できるのです。

課題発見力が社会人に求められる理由

課題発見力は、ビジネスパーソンに必須なスキルだと言えます。なぜ課題発見力が求められるのかを3つの視点から解説します。必要性を把握しましょう。

【課題発見力が求められる理由】
・変化が激しいスピード重視のビジネス環境で生き残る
・多様性の時代で課題が多い
・ニーズを作り出す人材が求められている

社員の課題発見力が高まれば、自社にどのようなメリットがあるのかが明確になるはずです。

変化が激しいスピード重視のビジネス環境で生き残る

現代は、テクノロジーの急速な発展や気候変動、グローバル化、新型コロナウイルスなどの影響で変化が著しく、少し先の未来も予測できないVUCA(Volitility=不安定さ、Uncertainty=不確実さ、Complexity=複雑さ、Ambiguity=曖昧さ)の時代と言われています。既存の価値観やビジネスモデルが通用しないことも増え、未知の事態を迎えているのです。

このビジネス環境下で生き残るには、既存の方法にこだわる人材よりも、社会情勢の変化を敏感に察知し、変化を受け入れようとする課題発見力の高い人材が必要とされます。

企業は、変化に適応して新たな価値を提供することで事業成長を成し遂げられます。より一層課題発見力の優れた人材の存否が企業成長のカギになるでしょう。

多様性の時代で課題が多い

多様化・複雑化が進む現代では、これまでのように1つの分野だけで課題を解決しても全体最適につながらない困難に企業は直面しています。課題発見力を磨いて、何に問題があってどうすれば解決できるのか。あらゆる視点で熟考しなければ、解決の糸口は見つかりません。

例えば、従来では競合他社より価格を下げたり、製品の品質を向上させたり、カラーバリエーションを増やせば、商品が売れてビジネスとして成立していました。しかし現代では、ほかの業界のサービスや商品とかけ合わせて、新しい価値を創出しなければ、新たなニーズを満たすのが難しくなっています。

企業が大きな成果をあげるには、多様化する消費ニーズを見据えて、複数の分野の専門家と協働し、課題解決に務める必要があるのです。

ニーズを創り出す人材が求められている

激動の時代に企業が成長を遂げるには、ニーズを創出できる人材が必要不可欠です。「ニーズを創り出す人材」とは、社会がどのような問題を抱えているのか、人が何に困っているのかといった見えない課題に気づける人を指します。

また、課題の発見だけではなく、従来にはない革新的な方法で解決策を見つけられる人が求められます。例えば、デジタルツールの普及によって多様化した消費者ニーズにあわせて、SNSを活用した試作を繰り出すなど、すばやく手を打つ姿勢が大切です。

時代の流れを先読みして柔軟に思考・行動し、企業に企画・提案できる人は貴重な人材だと言えるでしょう。

課題発見力の高い人材の特徴

課題発見力の高い人材には、以下のような共通点があります。

【課題発見力の高い人材の特徴】
・物事に対して常に「なぜ」を考えられる
・物事を分析できる
・前向きにより高みを目指す姿勢がある
・さまざまな知識・経験をもとに新しい視点で物事を捉えられる

どのような視点で物事を捉えるのかを把握し、意識することで、課題発見力を高められるでしょう。

物事に対して常に「なぜ」を考えられる

課題発見力の高い人は現状に満足せず、常に「本当にこの方法が良いのか」「もっと効率良く進められるのではないか」といった疑問を持つ傾向にあります。

たとえ仕事が順調に進んでいたとしても、向上心を持って課題点を発見し、解決策を導き出すことができるのです。

これまで当たり前だったことを疑い、より良い方法を常に探求し続けられる人は、従来にない方法で職場環境の見直しや業務効率化を図ることができるでしょう。

物事を分析できる

課題発見力の高い人は、今置かれている状況や出来事などを正しく理解・把握し、客観的な視点で分析できる特徴があります。

現状を分析して課題点や改善の余地があるかを見極めることができるのです。「何となくこうしたら上手くいくかも」といったイメージだけでなく、課題解決を裏付けるファクトとなる情報を収集する、関係者から事実やデータを得る行動にすぐ移る、といった点も特徴と言えるでしょう。

前向きにより高みを目指す姿勢がある

課題発見力の高い人は、従来の方法に満足せず、より良い状態を目指す姿勢があります。仕事が順調に進んでいる場合、改善の余地や課題点を追及せず現状に満足してしまう人は多く見られます。

しかし、課題発見力が優れている人は、「本当にこれで良いのか」と自問自答し、一歩先を模索し続けます。

さまざまな知識・経験をもとに新しい視点で物事を捉えられる

課題発見力の高い人は、1つの視点からではなく多角的に物事を捉えられます。これまでに経験して得た情報、知識を積極的に取り入れて、現状をより良い状態へと改善できるのです。

自社だけに着目せず、顧客・競合他社・事業を取り巻く環境の未来などあらゆる視点で分析できます。

「主観や先入観に囚われずに物事を見る力」も身についているので、広い視野で課題を発見し、改善へと導けるでしょう。

社員の課題発見力を高める方法

課題発見力は、勝手に身につくものではありません。意識的にトレーニングする必要があります。

ここでは、社員の課題発見力を高める方法を具体的に解説します。取り入れられそうなものから積極的に導入してみましょう。

【社員の課題発見力を高める方法】
・社員一人ひとりに責任意識を持たせる
・幅広い経済知識を身につけさせる
・クリティカルシンキングの力を高める
・観察力を高める

この方法を取り入れることで課題発見力をいかに高められるのか、具体的にどのようなアクションを起こすべきかをそれぞれ解説していきます。

社員一人ひとりに責任意識を持たせる

課題発見力を高めるためには、社員一人ひとりが自分の仕事に対して当事者意識を持ち、取り組むことが大切です。

他人事と捉えてしまうと、業務の定型化や、単純作業をこなすような受け身の姿勢になる傾向があります。責任意識が低ければ、淡々と業務をこなすだけで「見えない課題」に気づきはしません。。

社員の責任意識を高めるには、発見した課題の報告だけでなく、改善策も提案し、実際に課題解決に至るまで責任感を持って取り組んでもらうと良いかもしれません。

若手人材が発言しやすい環境を構築し、コミュニケーションを円滑化して社員が主体的に考えて行動できる環境を整えましょう。

幅広い経済知識を身につけさせる

課題発見力は、さまざまな視点から分析して初めて発揮される能力です。幅広く社会、経済の知識を持つ必要があります。

ビジネスパーソンとして必要な知識をインプットしておかなければ、課題点を発見したり、改善策を提案したりするのは困難です。

効率よく精度の高い情報を得て、知識を身につけるには経済知力を養える『日経TEST』が格好のツールです。『日経TEST』は、ビジネスに必要な経済知識を得られるだけでなく、仕事に活かす力も同時に身につけることができます。
日本経済新聞社のベテラン記者経験者が中心となって講師を務める『日経 経済知力研修』では、主要な経済ニュースの見方から、国内外の経済情勢、注目トピックスなどについて理解を深められます。
さらに、仕事で使える情報収集・活用と思考・発想のスキルも磨くことができます。社員の課題発見力を伸ばし、企業成長につなげられるでしょう。

クリティカルシンキングの力を高める

クリティカルシンキング(批判的思考)とは、物事の本質を見極めて論理的に思考することを指します。自分が普段無意識にとっている行動や思考を客観的に分析する際に用いる言葉です。

クリティカルシンキングを用いて、これまでとは違う視点で思考することで、問題発見力に必要な「新たな気づき」を得やすくなるでしょう。

クリティカルシンキングは、自然に身につく能力ではありません。日頃から自身の思考を深掘りしたり、行動や意見に対して反論する場を設けたりすると磨かれます。

観察力を高める

観察力を高めれば、物事の変化に気づきやすくなったり、多角的な視点で分析できるようになったりするので課題発見力が養われます。

観察力を磨く方法として、些細な変化に気づくための行動を習慣づけるトレーニングの実践がおすすめです。例えば、「毎日新たな発見をして、周囲の人にシェアする」というルールを作れば、変化に敏感になれます。

日常的に観察力を意識して行動するだけで、次第にこの能力を培うことができ、課題発見力の向上にもつながるでしょう。

まとめ

社員の課題発見力を最大限に発揮し、仕事に生かすには、若手でも発言しやすい環境を作ることが大切です。

自分の考えに自信を持って発言できるようになるには、クリティカルシンキングや幅広い経済知識を身につけることも大切だと言えます。日本経済新聞社が提供しているサービスや研修を導入すれば、効率的かつ適切な情報が得られ、仕事に生かすことができるのでおすすめです。

社員の課題発見力を伸ばして、変化の激しい現代でも価値提供をし続けられる企業・組織を構築しましょう。

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