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次世代リーダー育成が急がれる理由と育成方法|研修のポイントや成功事例を紹介!

企業が存続・成長し、価値を生み出し続けるには、組織と事業を力強く引っ張っていくリーダーの存在が必要不可欠です。

本記事では、次世代リーダー育成の定義を明らかにしつつ、次世代リーダー育成のポイントや留意点を紹介します。

次世代リーダーってそもそもどのような人材?

そもそも次世代リーダーとは、どのような人物を指すのでしょうか。

次世代リーダーとは一般的に、企業の将来を担う経営幹部や将来の経営者候補者として定義されます。つまり、会社の将来を担うリーダーです。

近年、世界経済はグローバル化やデジタル化の進展により、激しい競争が繰り広げられています。このような状況において、企業は変化に迅速に対応し、新たな価値を創造していく必要があります。

そのためには、企業のビジョンや戦略を策定し、組織を率いて実行できる優秀な次世代の経営リーダー人材が必要不可欠なのです。

1.次世代リーダーの人物像

具体的には、以下の要素を備えた人物と言えるでしょう。

1.ビジョン・戦略策定力、中長期的視点がある
次世代リーダーには、自社だけでなく社会全体の動きを読み、これからの時代に何をなすべきか判断する力が求められます。また、ビジネス推進のうえで、周囲の人が理解し共感してくれるビジョンを設定する力も必要です。
2.マネジメント力
次世代リーダーには、組織を率いて、目標を達成するマネジメント力が必要です。人材の育成や配置、意思決定、予算管理、リスク管理など、幅広い知識やスキルが求められます。
3.コミュニケーション力
次世代リーダーには、周囲の人々と円滑にコミュニケーションをとる力が求められます。プレゼンテーション能力や傾聴力、交渉力、説得力など、幅広い能力が必要です。
4.問題解決力
次世代リーダーには、さまざまな課題や問題を解決する力が求められます。多様化するステークホルダー(利害関係者)の協力を得るには、戦略的な思考を通じ、課題を分析する力や解決策を立案する力、実行する力など、さまざまな観点に立つ能力が必要です。
5.変化対応力
次世代リーダーには、変化の激しい時代において、常に学び続け、変化に対応する力が求められます。新しい知識や技術を習得する力や異なる価値観を受け入れることができる柔軟性、社会変化へのレジリエンスがあり、迅速に行動に移せる能力が必要です。

2.次世代リーダーに求められるコンセプチュアルスキル

「コンセプチュアルスキル」とは、「組織の諸機能がいかに相互依存し合っているか、またその内のどれか1つが変化した時、どのように全体の機能に影響が及ぶかを認識すること」

様々な出来事に遭遇した際、本質を見極められる能力のことで、「概念化能力」と言い換えられます。

あいまいで抽象的な問題に直面した場合でも、物事を理論的・創造的に考え、周囲の人が納得できる答えを導き出したうえで、問題解決のために何をすればよいかという計画を立てることも可能になります。

コンセプチュアルスキルは、もともと「カッツモデル」と呼ばれるビジネス理論の要素です。

アメリカ・ハーバード大学の経営学者、ロバート・カッツ教授は1955年に発表した論文「Skills of an Effective Administrator」の中で、マネジメント層に求められるスキルを「テクニカルスキル」「ヒューマンスキル」「コンセプチュアルスキル」の3つに分類しました。

・テクニカルスキル:特定の業務を遂行するために必要なスキル

・ヒューマンスキル:対人関係を円滑に進めるために必要なスキル

・コンセプチュアルスキル:物事を全体的に捉え、判断や決断を行うために必要なスキル

図:カッツモデル(3つの階層と3つのスキル)

図:カッツモデル(3つの階層と3つのスキル)

階層は上層に上がるほど役職が高くなります。トップマネジメント層とは経営者層であり、経営方針の決定や組織全体のマネジメントを行う階層です。ミドルマネジメント層は管理者層、ロワーマネジメント層は複数のメンバーをまとめる現場のリーダーであり、日本企業においては係長や主任等若手リーダーに該当します。

上位の役職になるほどコンセプチュアルスキルの必要度が高まり、特にトップマネジメント層に求められるとされています。

カッツモデルは、組織の役職を階層的に分類し、それぞれの階層で求められるスキルを明確に示したモデルです。組織の役職に応じた人材育成や評価に活用できます。

このカッツモデルは、内閣官房の資料でも取り上げられています。

次世代リーダーは、テクニカルスキル、ヒューマンスキル、コンセプチュアルスキルの3つをバランスよく身につけることが求められます。

予測不可能なVUCAの時代と言われる昨今、次世代リーダーにおいてコンセプチュアルスキルは特に重要な能力なのです。

次世代リーダー育成が急がれる理由

次世代リーダー育成が必要な理由は、以下の通りです。

①次世代リーダーの育成は会社の戦略そのもの
②育成に時間、早期選抜がカギ
③次世代リーダー育成は組織への対するメッセージ
④サクセッション計画が重要視されているため
⑤リーダーシップ・パイプラインの構築が重要視されているため

①次世代リーダー育成は会社の戦略そのもの

次世代リーダー育成は、企業の将来を担う人材を育成する取り組みです。企業の将来像の実現には、次世代リーダー育成が不可欠です。

次世代リーダーには、以下の役割が求められます。

・企業のビジョンや戦略を策定し、組織を率いて実行する
・変化に迅速に応じ、新たな価値を創造する
・人材を育成・活用し、企業の競争力を高める
・企業の社会的責任を果たす

企業の将来像を描く際には、企業のビジョンやミッション、市場環境、競合他社、社会の変化などを検討する必要があります。これらを踏まえて企業がどうありたいか、どのような方向性を目指すのか、どのような価値を創造していきたいかを明確にする必要があります。

企業の将来像が明確になれば、次世代リーダーに求められるスキルや能力も見えてきます。例えば、企業がグローバル展開を目指すのであれば、語学力や異文化理解力が求められるでしょう。

また、DX(デジタルフォーメーション)を推進するのであれば、ITスキルやデータ分析力などが求められます。

これらの役割を果たすことができる次世代リーダーを育成できれば、企業は変化に迅速に対応し、新たな価値を創造できるようになります。その結果、企業は持続的な成長と競争力強化を実現し、社会の課題解決への貢献も可能です。

②育成に時間、早期選抜がカギ

会社の将来を担う次世代リーダーは、育成に時間がかかります。候補者を早期に発見して育成していくことが重要です。

次世代リーダーの早期選抜が必要な理由は、以下のとおりです。

早期に育成を開始することで、より効果的に育成できる
次世代リーダーは、リーダーシップ力やマネジメントスキルなど、さまざまなスキルや能力を身につける必要があります。これらのスキルや能力は、経験を積むことで身につけることができるものも多く、育成計画をしっかり立てて、早期に育成を始めることで、より効果的に育成できます。
早期にキャリアプランを描き、本人のモチベーションを高められる
次世代リーダー候補は、自分が将来どのようなキャリアを歩みたいのか、明確なビジョンを持つことが重要です。早期にキャリアプランを描くことで、本人のモチベーションを高め、目標に向かって努力を続けることができるようになります。

③次世代リーダー育成は組織へのメッセージ

次世代リーダーの育成は、ほかの社員にとっては会社のあるべき姿や指針を示す存在メッセージと言えます。

次世代リーダーは、企業の将来を担う人材であり、企業がどのような将来像を描いているのか、どのような価値観を大切にしているのかを体現する存在と言えるでしょう。

例えば、次世代リーダーが多様性やグローバルな視点を大切にしている人材であれば、それは企業がそのような価値観を重視していることを示しています。

次世代リーダーの育成は、企業がどのような組織でありたいのか、どのような人材を育成していきたいのかを示すメッセージとなるのです。これらのメッセージは、社員のモチベーションや帰属意識を高め、企業の一体感の醸成にもつながるでしょう。

さらに組織外への効果として、人的資本への投資が明確になり、取引先やステークホルダーからの信用度も高まります。求職者へのアピールとなり、採用にも効果的です。

④転ばぬ先の杖、サクセッションプラン(後継者計画)

サクセッションプランは、将来的に経営者や幹部となる人材を育成する計画です。企業の将来像を実現するには、将来にわたって優秀な人材を確保し、育成することが重要です。サクセッションプランは、その一環として、企業が人材育成に取り組む指針となります。

サクセッションプランが注目される背景には、以下のようなものがあります。

企業環境の激変
近年、企業を取り巻く環境は急激に変化しています。テクノロジーの進化、グローバル化の進展、社会の多様化など、企業はさまざまな課題に直面しています。優秀な次世代リーダーを育成できれば、これらの課題を乗り越え、企業の継続的な成長と競争力強化に貢献できます。
優秀な人材の不足
少子高齢化や働き方改革の進展により、優秀人材の不足が深刻化しています。企業にとっては、自社での優秀人材の育成がますます重要となっています。
経営陣の交代リスク
経営陣の交代は、企業にとって大きな転換点となります。経営陣が交代した際に、企業の経営が混乱するリスクがあります。サクセッションプランを効果的に策定・実行に移すことで、経営陣の混乱を回避できます。

サクセッションプランは転ばぬ先の杖です。サクセッションプランを効果的に策定・実施することで、企業は、将来を担う優秀な人材をあらかじめ確保し、育成できます。

⑤欠かせないリーダーシップ・パイプラインの構築

リーダーシップ・パイプラインとは、会社の変革・発展を導くリーダーを組織全体で体系的に育成しようとの考え方です。

組織のトップからボトムまで途切れることのないパイプラインを作り、組織全体でリーダーを育成しようという仕組みを意味します。リーダーは加齢やリタイアに伴い、世代交代を繰り返していきます。

会社組織を引っ張っていくリーダーの不在が生じないよう、企業は次世代リーダーを途切れなく生み出していく仕組みをつくる必要があるのです。

次世代リーダー育成が難しいと言われる理由

次世代リーダーの育成に取り組む企業は多いものの、上手く成果が出ていない企業もあります。

次世代リーダー育成は、「リーダーシップの定義が曖昧」「育成に時間とコストがかかる」「育成環境が整っていない」など、さまざまな課題があります。詳しく見ていきましょう。

次世代リーダーの育成が難しいと言われる理由
①候補になりえる人を常にプールしておく必要がある
②育成の成果が見えにくい
③優先順位が低くなりやすい
④育成に時間がかかりモチベーションの維持が難しい
⑤次世代リーダーの人物像が明確でない

①候補になりえる人を常にプールしておく必要がある

次世代リーダー育成は、一時的な取り組みではなく、企業の持続的な成長のために、長期的な視点で取り組む必要があるということです。

リーダーシップは、一朝一夕で身につくものではありません。次世代リーダーを育成するには、少なくとも3年から5年程度の時間をかけて取り組む必要があります。偶発的な取り組みでは、このような長期的な育成の実現は難しいでしょう。

また、企業を取り巻く環境は常に変化しており、次世代リーダーに求められるスキルや能力も変化していく可能性があります。常に次世代リーダー候補をプールしておくことで、変化に見合ったリーダーの育成も可能です。

さらに、リーダーシップは、経験や学びを通じて成長していくものです。早い段階から実践的な経験を積み、多様な経験を積む機会の提供が重要といえます。

②育成の成果が見えにくい

次世代リーダー育成は、なぜ成果が見えにくいのでしょうか。それには、以下の理由が挙げられます。

個人差がある
リーダーシップには、さまざまなスキルや能力が含まれます。次世代リーダー候補一人ひとりが、どのようなスキルや能力を伸ばしていく必要があるのか、その個性を尊重して育成していく必要があります。

評価や改善を繰り返しながら、じっくり培っていくものである
次世代リーダー候補の成長を評価し、改善点をフィードバックしながら、育成を繰り返していくことが重要です。時間と労力をかけて育成を継続していく必要があります。

これらの理由から、次世代リーダー育成は、簡単に成果が見えないといえます。しかし、長期的な視点で取り組み、次世代リーダー候補の個性を尊重しながら、評価と改善を繰り返しながら育成していくことが、優秀な次世代リーダーの育成に不可欠です。

③優先順位が低くなりやすい

次世代リーダーの育成に悩む企業は多いと言われています。

企業の次世代リーダー育成には周囲の協力や理解が必要です。しかし、その重要性を経営陣や人事担当者が理解していない場合、優先順位は低くなりがちです。

通常業務の中で育成・研修に時間をかけるのは、利益を生み出す現場からキーマンが離脱する結果となり、現場にかかる負担や利益への影響などが出る懸念から、次世代リーダー育成が後回しになる傾向は否めません。

④育成に時間がかかりモチベーションの維持が難しい

次世代リーダー育成は、育成に時間がかかり、モチベーションの維持が難しいという課題があります。

育成に時間がかかる理由
リーダーシップには、さまざまなスキルや能力が含まれます。それらを身につけるには、実際にリーダーとして働き、経験を積む必要があります。また、リーダーシップは、個人差が大きく、一人ひとりに合わせた育成プログラムを策定し、継続的に取り組むことが重要です。そのため、次世代リーダーを育成するには、少なくとも3年から5年程度の時間をかける必要があります。長期的な視点で取り組み、定期的に評価しながら、継続的に取り組むことが効果的育成の実現に繋がります。

モチベーションの維持が難しい理由
モチベーションの維持が難しいのは、次世代リーダー候補が、リーダーとして活躍するまでの期間が長いためです。
リーダーとして活躍するまでに、多くの経験や学びが必要であり、その過程で挫折や失敗をすることもあるでしょう。リーダーとして活躍するには、高い責任感やプレッシャーに耐える精神力も必要です。

次世代リーダー候補が、モチベーションを維持し、育成を継続していくには、適切なサポートやフィードバックが欠かせません。メンターやコーチ制度を導入し、次世代リーダー候補の成長を支援していく姿勢が大切です。

⑤次世代リーダーの人物像が明確でない

次世代リーダー育成時に、求める人物像をはっきりさせにくいのはなぜでしょうか。

リーダーシップには、さまざまな定義があり、人によってその捉え方は異なります。次世代リーダーに求められる人物像を明確にすることが難しいという課題があります。

また、近年は働き方や価値観の多様化、テクノロジーの進化などにより、リーダーシップの求められ方が変化しています。時代に合った次世代リーダーの人物像を定義することが難しいという課題があります。

課題を乗り越え、次世代リーダーの人物像を明確にするには

これらの課題を克服し、次世代リーダーの人物像を明確にするうえで、企業では、以下の取り組みが重要です。

次世代リーダーの要件を明確にする

企業の将来像や経営戦略を明確にし、次世代リーダーに求められるスキルや能力を明確にします。

時代の変化に伴い、リーダーシップの求められ方をアップデートする

時代の変化に伴い、次世代リーダーの人物像を常にアップデートします。

次世代リーダー候補の個性を尊重する

一人ひとりの個性を尊重し、その人に合った人物像を定義します。

これらの取り組みを通じて、企業は時代の変化に適応した次世代リーダーの人物像を明確にして、優秀な次世代リーダーを育成できるでしょう。

次世代リーダーを育成するポイント

次世代リーダーを育成するポイントを紹介します。

・リーダーとしての自覚を促す
・コンピテンシー(要件)とタフアサインメント(修羅場経験)を合わせて設計する
・座学だけでなく必要な経験をさせる

次世代リーダーを育成するには、リーダーとしての自覚を促し、コンピテンシーとタフアサインメントを組み合わせて、座学だけでなく必要な経験を積ませることが重要です。

リーダーとして自覚させる

まずは、次世代リーダー候補が、リーダーとしての自覚を持つことが、第一歩です。リーダーシップの重要性や、リーダーとして求められるスキルや能力を理解させる必要があります。

リーダーシップ研修やコーチングなどの機会を通じて、リーダーシップの本質や、リーダーとして必要な行動や思考を学ぶ機会を提供していきます。

また、リーダーとしての経験を積ませることで、責任やプレッシャーを感じる経験を積み、次世代リーダーとしての自覚を促すことができます。

さらに、次世代リーダーとして自覚を持つことで、以下のメリットがあります。

・リーダーとしての責任や役割を理解し、行動に移すことができる
・目標達成に向けて、主体的に行動できる
・部下や同僚の信頼を獲得できる
・リーダーとしての成長を加速できる

コンピテンシー(要件)とタフアサインメント(修羅場経験)を合わせて設計する

次世代リーダー候補が、企業に求められるスキルや能力を身につけるために、コンピテンシーとタフアサインメントを合わせて設計することが重要です。

コンピテンシー(要件)とは、仕事や役割において優れた成果を上げるために求められるスキルや能力、行動特性のことです。企業は、次世代リーダー候補にどのようなスキルや能力を身に付けてもらいたいのかを明確にするために、コンピテンシーを定義する必要があります。

タフアサインメント(修羅場経験)とは、リーダーとしての自覚やスキル、能力を磨くために、リーダー候補に与えるべき難しい仕事や役割のことです。

タフアサインメントを通して、リーダー候補は、リーダーとしての責任やプレッシャーを経験し、リーダーシップを磨くことができます。

コンピテンシーとタフアサインメントを合わせて設計することで、次世代リーダー候補が、企業に求められるスキルや能力を効率的に身につけることができます。

例えば、リーダーシップ研修でリーダーシップのスキルや能力を身に付けた後、タフアサインメントでリーダーとしての責任やプレッシャーを経験し、リーダーシップを磨くことができます。また、コーチングを併用することで、リーダー候補の成長をより効果的に支援することができます。

タフアサインメントの具体的な例としては、以下のようなものが挙げられます。

・新規事業の立ち上げ
・海外事業の展開
・困難なプロジェクトのリーダー
・多様な価値観や考え方をもつチームのリーダー

これらのタフアサインメントを通して、次世代リーダー候補は、リーダーとしてのスキルや能力を磨き、リーダーとしての自覚を高めることができます。

自社の状況やニーズに合わせて、適切なコンピテンシーとタフアサインメントを設計し、次世代リーダーを育成しましょう。

座学だけでなく必要な経験をさせる

リーダーシップは、経験を通じて身につくものです。そのため、座学だけでなく、OJTやローテーションなど、実際にリーダーとして働く機会を与えることが重要です。

さまざまな役職や職責をローテーションしたり、以前とは異なる分野の仕事を経験したりする過程で、次世代リーダー候補者は以前とは顔ぶれが違うチームメンバーをマネジメントしていく経験を積み重ねられます。

将来のリーダー候補者が、常に新鮮な経験や実体験を得られる仕組みをつくることが大切です。

また、メンターやコーチによる指導を受けることで、リーダーとしてのスキルや能力を磨くことができます。座学だけでなく、必要な経験を積ませることで、次世代リーダー候補が実践的なリーダーシップを身につけることが可能です。

次世代リーダー育成の流れ

それでは、次世代リーダー育成の流れを確認していきましょう。

次世代リーダー育成の流れ
STEP1 次世代リーダーに必要なスキルや適性を明確にする
STEP2 次世代リーダー候補を選ぶ
STEP3 次世代リーダー育成施策を計画する
STEP4 育成結果の評価と見直し

STEP1 次世代リーダーに必要なスキルや適性を明確にする

次世代リーダーに必要なスキルや適性を明確にするには、以下のステップを踏むとよいでしょう。

1.企業の経営戦略や事業戦略を踏まえる
まず、企業の経営戦略や事業戦略を踏まえて、次世代リーダーに求められるスキルや適性を検討します。企業の経営戦略や事業戦略を実現するためには、どのようなスキルや適性を持ったリーダーが必要なのかを明確にする必要があります。
2.外部環境の変化を考慮する
次に、外部環境の変化を考慮して、次世代リーダーに求められるスキルや適性を検討します。近年、グローバル化やデジタル化の進展など、社会の変化が加速しています。こうした変化に対応するためには、どのようなスキルや適性を持ったリーダーが必要なのかを検討する必要があります。
3.リーダー候補の強みや弱みを把握する
最後に、リーダー候補の強みや弱みを把握して、次世代リーダーに求められるスキルや適性を検討します。リーダー候補の強みや弱みを把握することで、個別に必要な育成を進めることができます。
具体的には、以下の方法で、次世代リーダーに必要なスキルや適性を明確にすることができます。
・アンケートやインタビューによる調査
・専門家のアドバイスや意見の収集
・リーダーシップ研修やワークショップなどの実施

次世代リーダーに必要なスキルや適性は、企業によって異なります。そのため、企業は、自社の状況やニーズに合わせて、適切なスキルや適性を明確にすることが重要です。

STEP2 次世代リーダー候補を選ぶ

次世代リーダーの選抜基準には、実務能力やリーダーシップなど現時点の力量だけではなく、潜在的な成長力を含めた将来的なポテンシャルまで盛り込むことが重要になります。

実務能力やリーダーシップは、現時点でのリーダーとしての力量を表します。一方、将来的なポテンシャルは、リーダーとして成長する可能性の見極めが必要となります。

事前に選抜基準となるコンピテンシーを定義しておきましょう。

選抜方法は、所属部門の長からの推薦が一般的ですが、複数の担当者が人材をリストアップし、徐々に絞り込む「ロングリスト・ショートリスト方式」という方法もあります。

ロングリスト・ショートリスト方式は、複数の担当者の目による人材評価で、より的確な選抜が実現できます。

STEP3 次世代リーダーの育成手法

次世代リーダーを育成する施策には、以下のようなものが挙げられます。

研修
研修では、リーダーシップ、コミュニケーション能力、情報発信力などのスキルを体系的に学ぶことができます。実践的な演習やロールプレイングを通して、スキルを身につけます。
OJT(On-the-Job Training)
OJTでは、実務を通して経験や実績を積むことができます。上司や先輩社員からの指導を受けることで、リーダーとしての心構えを身につけることができます。
メンター制度
メンター制度では、経験豊富な社員が、次世代リーダー候補者の育成を支援します。メンターは、次世代リーダー候補者の強みや弱みを把握し、個別に指導をします。
配置転換
配置転換では、異なる部署や職種を経験することで、視野を広げることができます。異動先で新たなスキルや経験を積み、リーダーとしての幅も広がります。
社外研修
社外研修では、企業の枠を超えて、さまざまな人々と交流し、新たな視点や考え方を学ぶことができます。新たな学びを通じ、たくさんの気づきを得ることができます。

次世代リーダーを育成するためには、これらの施策を組み合わせて、効果的に実施することが重要です。また、次世代リーダー候補者一人ひとりの強みや弱みを把握し、個別に育成計画を策定することも大切です。

STEP4 育成結果の評価と見直し

育成結果の評価と見直しは、育成プログラムの改善や、次世代リーダーのさらなる成長につながる重要なプロセスです。

育成結果の評価と見直しの際には、以下の点に注意が必要です。

具体的な評価基準を定める
育成プログラムの目的や目標を達成するには、具体的な評価基準を定めることが重要です。評価基準を定め、育成結果を客観的に評価し、育成プログラムの改善や、次世代リーダーのさらなる成長に役立てます。
多様な視点からの評価する
育成結果を評価する際には、上司や同僚、部下などの多様な視点からの評価が重要です。多様な視点から評価で、育成結果をより総合的に評価でき、育成プログラムの改善や、次世代リーダーのさらなる成長につなげられます。
評価結果をフィードバックする
育成結果を評価したら、次世代リーダーにフィードバックすることが重要です。適切なフィードバックにより、次世代リーダーは自身の成長を振り返り、さらなる成長意欲を抱きます。目標達成度や、行動変容、スキルや適性の向上に注目し、次世代リーダーが、リーダーとしてどのような成果を挙げたのかを評価します。

まとめ

本記事では、次世代リーダーの人材育成について、その重要性から育成の流れを解説しました。人的資本経営における次世代リーダー育成は、企業の競争優位性を高めるために不可欠な取り組みです。長期的な視点で計画的に取り組むことで、優秀な次世代リーダーを育成し、企業の持続的な成長と発展を実現しましょう。

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