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管理職研修向けのカリキュラム内容|研修実施時のポイントを紹介します!

管理職になると2つのことが変わります。1つは企業という組織の中核メンバーとなること、もう1つは部下を持つことです。組織の中核メンバーが持つ知識として経営や組織、財務・会計、マーケティングについて、また管理職の実践的な知識も必要になっていきます。さらに、部下に対するマネジメントのノウハウも身につけなくてはなりません。

本記事では、管理職研修のおすすめのカリキュラムや研修のポイントについてお伝えします。

管理職研修の目的

管理職研修の目的は組織・人・業務の体系的なマネジメント理論を学ぶことです。管理職研修では、企業を変革する人材の育成や人材・組織についての知識を身につけ、これからの時代に新しい価値を創造できる人材を育てていかなくてはなりません。

管理職研修の目的
①企業を変革に導く人材の育成
②人材・組織の変化
③これからの時代の人材像を創造

目的① 企業を変革に導く人材の育成

これからの時代、変革に柔軟に対応し、導いていける人材の育成が急務です。既存の市場を一変させるような企業が登場するなど、ビジネス環境は予測できなくなってきています。

こうした環境下において、企業に変革をもたらす人材のニーズは高まっています。

外部からの採用という方法もありますが、自社内で育成された人材をまず育てていくことが、社内人材の活性化を含め重要となってくるでしょう。

目的② 人材・組織の変化

企業を取り巻くビジネス環境は急激に変化しており、それに合わせて、求められる人材や組織のあり方も柔軟に変化させていく必要があります。

管理職には会社や組織での役割があり、自分の仕事に加え全体を管理する能力が求められます。

優秀なプレイヤーだからといって、管理職として必ずしもうまくいくとは限りません。役割は、組織の中でのチームや部署の管理、さらに部下の教育など多岐に渡ります。

人材にマッチした管理職研修が必要になってくるでしょう。

目的③ これからの時代の人材像を創造

既存のビジネスにおける職務遂行のみを担うのではなく、新しい価値を創造し、かつ、自らのキャリアを自ら切り開ける人材が、これからの時代に求められます。

より複雑でVUCA(曖昧・予測困難)な時代、管理職に求められるのは、変化適応力です。

変化に適応していくには、「本質や時代の中における企業価値を見定める力」と「時代に合わせて変えていく力」が必要です。

時代に合わせて必要になる人材像に合わせて、研修を組み入れていくことが管理職育成を成功に導きます。

管理職研修の種類

管理職研修と言っても、さまざまな種類があります。役職を与えられたばかりの新人管理職と戦略立案やリスクマネジメントが大きな役割となる上級管理職では与えられている使命が異なります。

中間管理職は、上役や部下などの階層間のやり取りにおいて、高度なコミュニケーションスキルも身につけておかなくてはなりません。

管理職研修の種類
・新任管理職
・中間管理職
・上級管理職

新任管理職

役職を与えられたばかりの新任管理職に対しては、所属している従業員の能力を向上させ、業績を上げていくことが自身の役割である、という意識を持ってもらうことが研修の目的になってきます。一般的には決裁権が与えられている係長や主任、リーダー、課長が管理職となる最初の肩書となるでしょう。

基本的な業務の管理や部下への教育や指導力も必要なスキルです。

コミュニケーション能力を鍛えることや、基本の経営者が持つべきマインドを取り入れる研修も必要でしょう。

会社によっては予算管理が求められる場合があり、マネジメントに関する数字の管理能力が必要になるほか、コンプライアンスや今の時代に合わせたメンタルヘルス、多様性についてなども含めた、組織運営に必要なマネジメント能力が求められます。

中間管理職

新任のときとは異なり、部長以上のクラスになってくると、チームや組織の育成にも力を入れなくてはならないでしょう。

一人ひとりが意欲的に働ける良い職場をつくるには、部下の仕事への意欲を引き出せる環境づくりのスキルが必要です。組織を導いていくことができる、リーダシップ研修なども必要になってきます。

部下が前向きに仕事に取り組めるよう動機付けできる能力が求められます。仕事を割り振る前に、どういった部分を伸ばすことが必要なのかを考えたり、本人の希望を理解した上で、目標を設計したりするのも重要な役割です。

そして、定期的に仕事内容や業績について部下と一緒に振り返り、フィードバックすることが大切です。良い組織をつくるには、管理職が部下と課題を共有し合うことが重要です。

社会規範・社会道徳、ステークホルダーに関することにも配慮しなくてはならない立場のため、コンプライアンスやリスクマネジメント力も必要になってきます。

上級管理職

上級管理職は、組織の戦略立案とリスクマネジメントが大きな仕事です。部門経営者、マネジメント層としての役割を担うことが多くなります。

上級管理職になったら、今までの自身の役割と今後の役割の違いを認識し、より経営層に近い職責を認識しなくてはなりません。経営方針に沿った戦略策定力が必要になってきます。

リスクマネジメント力は、中間管理職よりも、広い視野で注意を怠らない必要が出てきます。不正や不祥事を防ぎ、公正な判断や健全な経営を堅持するのに欠かせない監視・統制の仕組みであるコーポレイトガバナンスに関する知識も必須です。

経営者視点に立った業績拡大、新しい事業・変革、組織づくりに加えて、経営数字、組織マネジメントの手法などを学ぶ研修が必要です。

管理職研修で押さえておきたいカリキュラム内容

管理職研修で押さえておきたいカリキュラムは、いくつかの専門に分かれています。

人事部としては、各個人がキャリアを考えることができるような研修の場の提供が必要になってきます。まずビジネスを体系的に学び、専門的なカリキュラムに分かれて各々の能力を向上させていきます。

また、外部研修では異業種の人々との交流を通して、新しい発想や気づきが数多く得られるのが利点です。ビジネスを創造するのに不可欠な原理原則を学び、それを実践して磨く場として、外部の研修会社を使うのも一つの手法です。

【管理職研修で押さえておきたいカリキュラムの内容】
・基本的な業務の管理
・部下への教育や指導力
・コンプライアンス
・リーダーシップ
・リスクマネジメント力
・経営方針に沿った戦略策定力
・組織マネジメント
・コーポレートガバナンス

会社の発展には、事業戦略やマーケティングの知見を持ち、適切な方向に舵をとっていかなくてはなりません。

ビジネスの専門知識に加えて、会計や財務などの経営に関する知識も管理職として必要です。管理職の段階ごとに、必要になってくる研修があり、それは立場によって変わります。

部下を持ったタイミング、経営に関する業務に近づいてきたときなど、立場に合わせて学んでいくことが大切です。ハラスメント対策やコンプライアンス遵守に欠かせない人事や労務の知識のほか、環境問題やSDGsへの配慮、情報セキュリティなど現代社会に適合するには各分野での専門知識が重要になります。

管理職=会社の未来を創るビジネスリーダーと捉えることができます。管理職のレイヤーごとに必要となる研修は変わってきます。

管理職とは、役職や役割に応じてさまざまな決裁権をもち、組織の目標達成のために業務を管理すると同時に、部門やチームに所属する部下を指導・管理する役職のことを指します。

企業によっても肩書きはさまざまで、一般的には係長や主任、リーダー、課長、部長、マネージャーなどが管理職にあたります。

係長や主任、リーダーなどには決裁権が与えられていない企業もあり、このように決裁権がない役職は管理職に含まれない場合があります。

基本的な業務の管理

基本的な業務の管理は、まず管理職(係長、主任、リーダー、課長など)を打診されて、立場的にできていなくてはならない必須の項目です。目標を設定するだけでなく、それを達成するために業務の進捗状況を管理することも管理職の重要な役割となってきます。

目標に対して進捗が遅れている場合には、部下とともに原因を探り問題が解決できるように対策を講じていかなくてはなりません。人手が足りていないときには業務の適切な割り振りをおこなったり、業務改善や業務を進める方向性について部下にアドバイスをしたりすることも管理職の仕事といえます。

さらに管理職のレイヤーが上がるにつれて、自分の部下や担当プロジェクトだけでなく、会社全体の動きを俯瞰することが必要です。経営に関する専門知識やリーダーシップ、ロジカルシンキング、マインドセットも重要となります。

基本的な業務の進捗管理、目標の設定、部下の育成やモチベーションアップ、人事評価などさまざまな要素が管理職に求められています。管理職は、成果への責任と決裁権を持ち、会社の未来を担う役職です。

部下への教育や指導力

管理職(係長、主任、リーダー、課長など)になると必ず部下やチームを指導する立場になります。

一般的な社員と管理職で、仕事に対する考え方や行動力が違うのは、時間軸の捉え方です。社員は目の前の仕事や、自分が働く期間で短視眼的に捉える傾向がありますが、管理職は次の世代まで見据えて部下の教育や指導を考えていかなくてはなりません。

例えば、物事を整理し筋道立て、矛盾のない結論を導く論理的思考法(ロジカルシンキング)は、冷静で合理的な判断をするうえで必須です。さまざまなスキルを磨き、部下の指導に役立てることができます。

コンプライアンス

管理職になってしばらく経つと、自分の管理部門だけではなく、会社全体をみていかなくてはなりません。課長や部長以上の役職には必須の項目です。今まで与えられていた専門性の分野だけではなく、社会を俯瞰してみた中の自分の会社の立ち位置、また自身の立場も考慮しなくてはなりません。

コンプライアンスは「法令遵守」を意味する言葉です。現代では、社会規範・社会道徳、ステークホルダー(利害関係者)の利益・要請への配慮なども含む広い概念となっています。会社において、適切な体制のもと実現すべきだと考えられています。

基本的には、経営陣が方針を決めて、法務部やその他専門部署などがコンプライアンスの体制構築を実際に進めていくことになります。 法務部、総務部などが集めたステークホルダーに関する情報や、法令改正に関する情報から、経営陣が経営戦略を立てることも考えられるでしょう。このようなことから、管理職として基本のコンプライアンスについての知識は必須となります。

リーダーシップ

管理職になるにあたって、必ず必要になってくる項目の一つにリーダーシップが挙げられます。この技術が際立っているからこそ、管理職のレイヤーに打診される人もいるでしょう。個人の目標達成から、チームや会社全体の覇気を高める雰囲気づくりも必要になってきます。上のレイヤーに行けば行くほど、個人や小さなチームの関係だけでなく、大きな組織を率いていくことができるようなリーダーシップが必要になってきます。

目標達成のために社員のモチベーションを保ち、仕事の優先順位を決め、組織を率いてゴールまで導くことが、管理職には必要不可欠なスキルです。

事業の方向性を提示して明確に指示を出す力、コミュニケーション能力、メンバーに働きかける心理的アプローチや人間力も必要です。組織内外の環境によって最適なリーダーシップは異なります。個人の適性に合わせて、育む必要があります。

リスクマネジメント力

リスクマネジメントとは、リスクを組織的にコントロールし、損失などの回避または低減を図るプロセスをいいます。

リスクマネジメントは 「責任者」という観点では経営層(取締役やチーフ・リスク・オフィサー)となります。「専門家」という観点ではリスク管理部門です。企業の価値を維持・増大し、企業経営のうえで障壁となるリスクやそのリスクがおよぼす影響を正確に把握することを表します。事前に対策を講じて、危機発生を回避するとともに、危機発生時の損失を極小化する経営管理手法です。

日常業務においては、業務の割り振りや進捗の管理、チームメンバーの育成などのマネジメント力は、管理職にとって重要なスキルのうちの1つです。

リスクとなり得るものをすぐに察知できるよう、全体を見通し、チーム目標の実現に向けて組織内外問わず日々の管理を行っていくことが求められます。

経営方針に沿った戦略策定力

管理職になっても雇われる側の視点やマインドでいると、いつまでも経営者の視座に立てず、組織を引っ張ることができません。組織を率いて会社の成長に貢献するには「経営者マインド」が重要です。

部長以上の管理職においては、経営方針に沿った戦略も必要となり、マネジメント思考が必要になってきます。

さらに責任感への意識も、一般社員と管理職の社員の間では差があります。管理職側は、企業を成長・存続させるために、企業が進むべき方向性を示すことが必要です。

また、その方向性を示すには、経営方針に沿った戦略策定力が必須です。「経営戦略」とも呼ばれる分野で、これは外部の経営学セミナーなどでケーススタディーを通して学べます。

組織マネジメント

経営には、目的・目標へ立ち向かう仲間を集って組織をつくります。組織において、各単位をつなぐ結節点の役割を果たすのが管理職であり、組織マネジメントを実践する人です。

部長、マネージャー職の役職において、組織マネジメント力は、企業の永続的発展に欠かせません。

目指す企業理念やビジョンを部下に浸透させることも必要で、それらは一般的には、抽象的な言葉で表現されていることもあるため、管理職は一般社員にわかりやすいように具体化し説明することが求められます。

また、企業理念やビジョンを実現するために、企業として取り組む戦略を自部署のミッションに落とし込んで説明し、部門やチームとしてなにに取り組むべきかを認識させることも管理職の役割です。

「経営の方針に従って計画を立て、一定の手順に沿って作業に取り組む」「PDCAサイクルを回す」などのマネジメントに対する考えや手法は、効果が認められ、多くの企業に取り入れられています。

コーポレートガバナンス

コーポレートガバナンス(企業統治)とは、不正や不祥事を防ぎ、公正な判断や健全な経営を堅持するのに欠かせない監視・統制の仕組みです。会社が、株主をはじめ顧客・従業員・地域社会等の立場を踏まえた上で、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組みです。

本来、経営者は株主利益の最大化を達成するために企業の運営を行うものという企業経営を監視するためのものです。経営の立場になると、コーポレートガバナンスを常に意識していなくてはなりません。

不正や不祥事は、企業価値の棄損に直結します。不正や不祥事を未然に防ぐために、コーポレートガバナンスへの取り組みが強化されています。

上場企業は内部統制を強化し、信頼性のある財務状況を株主やステークホルダーに報告する義務があります。

コーポレートガバナンスの強化には、最初に内部統制の仕組みの構築が必要となります。

管理職研修を生かす具体的なポイント

管理職研修を上手く生かすにはいくつか具体的なポイントがあります。

最も大切なのは、知識を学ぶだけではなく、実践の機会。特に問題点や自身に必要な箇所を特定してからの研修は身になります。配属直後ではなく、数カ月後の研修も有効とされています。

管理職研修を行うときのポイント
・学んだ内容を生かす機会を与える
・効果を上げるには配属数カ月後が有効
・研修内容は常にブラッシュアップしておく
・外部研修をうまく活用する

これまで現場の経験でしか学べなかった管理職に必要なマーケティング思考や財務・経理の知識を、体系的に学ぶ環境をつくります。自ら考えて行動する管理職になってもらうためのポイントを見ていきましょう。

学んだ内容を生かす機会を与える

座学の学習だけでなく、学んだ内容をアウトプットする機会が重要です。研修内ですぐにアウトプットし、学びを深めていくアクティブラーニングを取り入れるのが良いでしょう。

「知識」の暗記ではなく、「考え方・思考方法」を身につけ、自らの業務への応用イメージがつきやすく受講者の実践につながります。

管理職が獲得した知識を社内・チームに応用する環境を整えることも重要でしょう。組織づくりに意志を持って向き合っている他業種の組織・チームの人々と繋がりを持てる外部研修は、他流試合で新たな学びや刺激にもつながります。

配属直後よりも数カ月後の方が効果的

管理職は部下の指揮・管理やプロジェクトの運営管理が役割です。研修のタイミングとしては、配属後に自身の課題を知り、組織の問題点を明確にしてから受講する方が効果的です。

管理職育成の目的は、会社全体を見る視野の広さを持ち、各部署に適切な機能や人材の配置ができる能力を身につけた社員になってもらうことです。管理職は組織づくりや各部署との連携、時間管理を担います。

さらに、後継者の育成に取り組むのも管理職社員の業務です。幅広いビジネススキルが必要だからこそ、何を重点的に身につけたら良いかを見極めてからがより実りの多い研修となるでしょう。

研修内容は常にブラッシュアップしておく

時代の変化の流れが急なこの時代では、学んだことがすぐに古くなりアップデートが必要になる分野があります。一方で常識として経営学の流れを理解しておく必要はありますが、研修では、時代に適した内容を常にブラッシュアップしていかなくてはなりなせん。自社のリソースだけではなく、最新の情報を持つ信頼できる外部研修を取り入れることが、時代に乗り遅れないうえで大切でしょう。

ブラッシュアップだけではなく、定期的なフォローアップも研修には必要です。一定の期間が経過したタイミングで振り返り、問題点や改善点を確認したうえで、さらなるスキルや知識を身につけ、新たな目標設定をします。

外部研修をうまく活用する

幹部研修の成功には、上手に外部研修を取り入れることが賢い選択です。

内部研修だけでは追いつけないAI(人工知能)などの技術の革新、さらにはコンプライアンス規制の知識なども、外部の専門講師の活用で学びの時短になり実践的です。

人気公開講座の講義内容に加えて、企業の課題に応じてカスタマイズできます。管理職に必要な知識、ノウハウを時間や場所を選ばないWeb受講とセルフチェックで身につけるコースなどもあります。

日経ビジネススクールでも次世代の幹部候補となる管理職育成に最適な研修を多数用意しています。下記のページをご確認ください。

まとめ

管理職になることによって、企業という組織の中核メンバーとなり、部下を持つことになり、その研修内容は多岐にわたります。経営や組織、財務・会計、マーケティングなどの管理職の実践的な知識、さらにマネジメントのノウハウも身につけなくてはなりません。

管理職研修には、役職を与えられたばかりの新任管理職研修、部下の育成にも力を入れなくてはならない中間管理職としての立場、部門経営者としての役割を担うことが多くなる上級管理職と階層も分かれています。

管理職として、日々の基本業務や部下指導に加えて、コンプライアンス、リスクマネジメント力、経営方針に沿った戦略査定力、組織マネジメントやコーポレートガバナンスについても知識が必要になってきます。このような知識は、時代の変化の流れが急なこの時代、学んだことがすぐに古くなりますので定期的なブラッシュアップも必要です。学んだ内容をアウトプットする機会を取り入れることも重要です。

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