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経営人材に求められる「バルナラビリティ」

バルナラビリティという言葉を聞いて皆さんは何を思い浮かべるでしょうか。ITの知識があれば、ソフトウエアやハードウエア、システム全体に存在するセキュリティ上の欠陥や脆弱性などをイメージするかもしれません。

自分の弱さと向き合う

今回取り上げるのはIT用語ではなく、心理学用語としてのバルナラビリティです。バルナラビリティとは人が抑うつや不安などの精神的問題、または他者からのネガティブな影響などに対して特に感受性が高くなる状態を指しますが、そこから自分の弱さと向き合い、それを認め、自分の弱みをさらけ出すという意味になりました。

こう書くと、バルナラビリティについてネガティブなイメージを抱く方もいるかもしれませんが、最近の研究では、自分自身の脆弱性を認め受け入れることによって、他人とより深いつながりを築き、自己理解を深め、自己成長につながる可能性があると指摘されています。

それでは、なぜ今バルナラビリティというワードが注目されているのでしょうか。

リーダーシップとのつながり

バルナラビリティを語る上で欠かせない要素が、リーダーシップとのつながりです。リーダーシップを発揮する際に重要なことは、メンバーとの信頼と共感を築き、共に目標に向かって進んでいくことです。その過程でリーダーは自身の弱みをさらけ出すことでメンバーとの絆が深まり、信頼関係が醸成され、最終的により良いチームパフォーマンスにつながります。

これからのリーダーには、単に能力だけではなく、人間性や共感力が求められています。この辺りについては、私たちが毎年社員を派遣しているATD ICEやSHRMといった海外の国際的な教育カンファレンス・セミナーでも多くの登壇者から語られているところです。

経営人材の心構え

2023年12月に日本経済新聞社とワークス・ジャパンで実施した人的資本経営調査で「社員の教育・育成に関する課題」についての質問項目(上位5つまで選択)があります。「マネジメント層育成」(46.5%)が「次世代リーダーの発掘・育成」(50.3%)に次いで多い回答となりました。

これらが上位にくる主な要因としては、人的資本経営への意識が高まりつつある中、各階層、特に近い将来経営人材となる階層について、会社として必要な学び・研修の場を提供し、しっかりとした人材プールを醸成することが急務であるとの共通認識があるからではないでしょうか。

経営戦略、会計、事業戦略、DXに至るまで、日経が提供する研修のラインナップには、将来の経営人材を育成するための各種研修メニューが揃っています。(サクセッションプラン / 次世代リーダー育成の構築 | 日経人財グロース&コンサルティング (nikkei.com))

経営人材として必要な学び、スキルセットを経営人材育成の1つの軸とすれば、もう1つの軸が経営人材の心構えとしてのバルナラビリティです。

バルナラビリティは、個人の適応力、結束力および成長のための重要な要素ともなり得ます。自己の弱さや不確実性を認識し、それを無力化するのではなく、活用することで、強さや気づきを得ることができるという意識を、近い将来会社の舵取りを担う経営人材候補者の方には是非持っていただきたいと思います。

(中元 健児)

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