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CHRO100人調査実施 〜 経営・人事の両戦略、64%が同期済み 従業員の理解促進が課題

日本経済新聞社 人財・教育事業ユニットは2024年11月、大手企業を対象とする「CHRO100人調査〜人的資本経営の実現に向けて」の結果をまとめました。調査はワークス・ジャパン(東京・千代田)と共同で実施。人的資本経営を進める中で、最高人事責任者(CHRO)・人事担当役員が抱く課題感を聞きました。経営戦略と人事戦略について64%が同期できていると回答。半面、従業員の理解が進んでいないことも明らかになりました。

人事戦略、「従業員」理解していない58%

調査ではCHRO・人事担当役員に、「あなたが考える人事戦略を十分に理解していないと感じる層」について質問しました。その結果、人事部門を除く「その他従業員」という回答が58%に上りました。「社内の他のCxO」という回答も37%ありました。自由回答では、事業部門の役員、社外取締役などが挙がりました。

CHRO・人事担当役員の人事領域の経験年数によって、結果に違いがみられました。経験年数が短い方が、「社内で理解されていない」と考える傾向にありました。

「経営戦略と人事戦略を同期できていると思うか」という設問に対しては、「とてもそう思う」「ややそう思う」をあわせ、計64%が同期できているとの回答でした。大手企業が対象ということもあり、比較的高い数値となりました。

従業員規模が大きな企業ほど、同期できているようです。10,000人以上の企業では76%が同期済み。これに対して、3,000人未満の企業では同期済みは50%でした。

経営人材候補、育成施策の可視化は26%どまり

経営人材候補者や次世代リーダーの発掘・育成についても聞きました。「経営人材の候補者育成施策の結果を可視化しているか」という設問に対して、可視化できているのは26%にとどまりました。

「次世代リーダー候補者を選抜するうえでの課題」については、「素養の見極め」が課題だとの回答が58%に達し、最も多い回答となりました。上位回答には「外部からの適任者の採用」「候補者の見直し・入れ替え」が続きました。

優秀人材の定義、「決断力と胆力」など10パターン

優秀人材の定義については、自由回答で聞きました。①異なる価値観に対して答えを導き出せる力②企業の付加価値を向上する力③論理的思考力と洞察力④決断力と胆力――をはじめ、大別して10種類の回答が得られました。企業における優秀の定義を見直す気運が高まっていることを反映した内容でした。

大手企業は積極的に人的資本経営を推進していますが、さまざまな課題があることも浮き彫りになりました。今回の調査結果を、産業界の人材育成・採用、組織開発の支援に生かしたいと考えています。

今回の調査の概要は以下の通りです。
<調査概要>
調査名称:CHRO100人調査〜人的資本経営の実現に向けて
調査対象:東証プライム上場、または従業員1,000人以上の企業のCHRO・人事担当役員
調査時期:2024年8月19日〜9月6日
調査方法:インターネット調査
回答者数:108人
調査主体:日本経済新聞社 人財・教育事業ユニット / ワークス・ジャパン
調査実施機関:日経リサーチ

調査に協力いただいた企業は以下の通りです。
<回答企業一覧>(50音順)
アインホールディングス、旭化成、アサヒグループホールディングス、味の素、アフラック生命保険、アルコニックス、伊藤忠商事、イトーキ、イトーヨーカ堂、インフォマート、エーザイ、NOK、N T Tデータグループ、オークマ、大林組、学研ホールディングス、キヤノンマーケティングジャパン、共英製鋼、キリンホールディングス、クラボウ、黒崎播磨、京浜急行電鉄、コーナン商事、コカ・コーラ ボトラーズジャパン、サッポロビール、SUMCO、島津製作所、S C R E E Nホールディングス、スターゼン、住友商事、住友生命保険、住友ファーマ、セイコーエプソン、積水化学工業、セブン-イレブン・ジャパン、双日、第一生命ホールディングス、大和ハウス工業、高砂熱学工業、高島屋、千葉銀行、千代田化工建設、ツムラ、TIS、TSIホールディングス、DM三井製糖、ティーガイア、テルモ、東急、東京センチュリー、東京電力ホールディングス、東北電力、トーエネック、TOPPANホールディングス、豊田合成、ナブテスコ、南海電気鉄道、西松建設、日揮ホールディングス、日清食品ホールディングス、日鉄ソリューションズ、日本ハム、ニプロ、日本航空、日本電信電話、野村不動産ホールディングス、パナソニック コネクト、阪和興業、富士通、プロトコーポレーション、ポッカサッポロフード&ビバレッジ、マツダ、松田産業、丸一鋼管、マルハニチロ、丸紅、みずほフィナンシャルグル ープ、三井住友トラスト・ホールディングス、三菱製鋼、三菱マテリアル、三菱UFJ信託銀行、リコー、りそなホールディングス
(注)社名開示に同意があった会社のみ 。社名は回答時点の表記で記載

CHRO100人調査~人的資本経営の実現に向けて

CHRO100人調査~人的資本経営の実現に向けて

大手企業のCHRO・人事担当役員108人に調査。集計結果から浮かび上がった興味深い本音とは?

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