社外取締役の全体像を早回しで学ぼう
女性の社外取締役育成講座エッセンシャル版 11月開講
セミナーレポート永田潤子教授㊧と木村恭子所長
第2期の開講に先立ち、大阪公立大学大学院都市経営研究科の永田潤子教授を招いて、日本経済新聞社の木村恭子ヒューマンキャピタルラボ所長が、社外取締役に求められるスキルや心構えについて聞きました。永田教授は、第1期に続き第2期でも、社外取締役の役割や、女性のキャリアとウェルビーイング(心身の健康と仕事への充実感)などの講義を担当します。永田教授は、この講座のメリットのひとつに「社外取締役の全体像を早回しで学べる」(永田教授)ことがあるといいます。
自分に足りないところを知ろう
木村所長 今日は11月9日からスタートする女性の社外取締役育成講座エッセンシャル版について、内容を詳しくお伝えします。大阪公立大学大学院都市経営研究科の永田潤子教授をお招きしました。
永田教授 私は、7月から始まった第1期講座でも、講師を務めました。社外取締役や顧問として企業の経営に携わっていますので、女性にとって必要な点について、皆さんにお届けしたいと思っています。
木村所長 永田先生には、第1期初日のキックオフ講座から、受講生のマインドをアップして、エンカレッジしていただて、非常に人気でした。10月で終わった第1期の受講生に接して、どのような感想を持ちましたか。
永田教授 まず驚いたのは、募集期間が短かったのに応募者が多かった点です。うれしい反響でしたよね。
木村所長 25人の募集に対して、倍以上の応募がありました。急きょ、定員を30人に増やしました。
永田教授 社外取締役として企業に寄与して、日本の社会や経済に貢献するところまで見据えている女性たちの志の高さに、感銘を受けました。受講生の皆さんは、マーケティングなど専門のキャリアは積まれています。ただ、経営層としての意思決定に必要な能力という観点から、ご自身のスキルや経験を整理する機会はなかったかもしれません。自分に足りない点を知ることも大切です。
木村所長 受講生には、大手企業の関連会社の社長や起業家、MBA所得者もいましたが、マネジメントを学ぶのも大事だということですね。
永田教授 大事なのは、マネジメントの実務です。MBAで学ぶ内容と実務は異なります。実務は動いているものを取り扱うし、教科書通りにはいきません。例えば、取締役会で、教科書に書いてある通りのことを発言しても、実際の経営活動に合わないかもしれません。今回の講座のように、経営の視点で考える機会は貴重です。
企業と個人の双方にメリット
木村所長 日本経済新聞電子版で、10月3日に「女性取締役、社内昇格1割止まり 育てよ現場の実力派」という記事が掲載されました。政府は、プライム上場企業に対し、2030年までに女性役員比率3割以上を目指すよう求めています。ところが、2024年7月時点で、取締役に占める女性の比率は16.9%にとどまっています。今後、ある程度の期間は、社外からマネジメント層で実務に明るい人材を取り入れる必要がありそうです。女性が社外取締役として担う役割の醍醐味をどのように考えていますか。
永田教授 男性ばかりの意思決定層で見えなかった視点に気付くという点が、まずは女性の役割として大きいと思います。ふたつ目には、社外の取締役だからこそ指摘できることがあるはずです。例えば、社内政治に巻き込まれて、議論の対象とならなかった視点も指摘できるでしょう。女性であり、社外であることは重要です。